第6話
契約が完了した後、俺は魔法陣が書かれた部屋に戻ってきた。
「どんぐらいの時間経ったんだろ?」
「こっちでは、3分位しか経ってないぞ」
「あれ、ロベリア?上位種って、実体化できないんじゃないの?」
「我らは10割契約したからな、ほぼ主様と一体化してるから実体化もできるぞ」
「なんで、主様とか言ってんの?」
「10割契約って言うのは、奴隷契約みたいなものだからな、我と主様の関係は従者と主人だ」
「ふ〜ん、そうなんだ。とりあえず部屋から出るか。ロベリアたちは、実体化しないでね」
部屋から出た俺は、アイサの部屋に向った。アイサが家庭教師をやるのは俺が10歳になるまでだ。俺が上位種との契約を終えたら帰るので、今頃部屋で帰りの支度でもしているのだろう。
アイサの部屋についた俺は、扉をノックする。すると、直ぐに扉が開いた。
「ルイズ?契約はどうなった?」
「終わりましたよ。実は先生にお願いがあって来ました」
「なに?もう終わっただと?ヴァール殿には報告したのか?」
「報告する前に、模擬戦をしてくれませんか?」
アイサは俺を怪訝そうに見た。しばらく考えた後、わかった、とだけ答えた。その後、俺たちは訓練場に来た。
「先生、全力で相手をしてください」
「わかった。お前がどれだけ成長したのか、確かめさせてもらおう」
そう言い、俺もアイサも木剣を構える。俺は、一気にアイサとの距離を詰め、フェイントを混ぜながら、アイサの腹部目掛けて木剣を振るう。アイサがバッグステップでそれを避け、反撃してくる。アイサの攻撃を木剣で受け流し、こちらも反撃する。何度も剣を打ち合う。
「やっぱり、先生は強いですね」
「まだ、10歳のガキに負けるわけにはいかん」
俺は、いままで以上に足に魔力を込め、身体強化を使い、アイサの背後を取る。そして、アイサの頭にめがけて突きを放つ。アイサは首を捻り、ギリギリでかわす。しかし、完全に避けきれなかったようで、頬から赤い血が流れる。
「っ!!どういうことだ!?お前は、私を殺そうとしたのか!?」
「そうですよ、俺は今、あなたを殺そうとした」
「な、何を言っている!?何故、私を殺そうとした!?」
「そんなの、俺が殺したいからですよ」
「何を言ってるんだ…お前は…!じゃあ、今までのお前は何だったんだ!?ずっと私のことを殺したかったのか?」
「今までの俺?俺は俺ですよ。そんなことより、続きを始めましょうか」
「私は、お前を殺したくないッ…!今ならまだ、見逃せる」
「俺は、あなたを殺したいです」
俺はアイサに殺気を飛ばす。
「ッ!ならば…仕方ない。ここで、お前を迎え撃つ!ガーベラ!私に力を貸してくれ!!」
アイサの魔力が一気に増えた。
「先生の上位種は天使ですか」
「もう私を先生と呼ぶな!!ファイアブレス!」
「いきなり、上位魔法か」
まだ、ロベリアたちの力は使わない。自分の力だけでどこまでやれるか、試してみたい。
「シャドウダイブ」
俺は自分の影の中に潜り込み、アイサの背後まで移動するが、すぐにアイサが気付き、木剣では無く、真剣で切りかかってきた。
「おっと、危ねえ。どうやら、迷いは捨てれたみたいですね」
「もう、お前は敵だ」
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