第5話 

 早いことで、俺は10歳になった。アイサが来て5年の間に、たくさんのことがあった。そして、俺は決めたことが1つある。それは、この世界で最初に殺すのはアイサだと決めた。


 強くて気高いアイサが、教え子に殺される瞬間、どんな顔をするのかが見たくてたまらない。でも、今の俺では勝てない可能性がある。


 今の俺とアイサには、決定的な差がある。それは、上位種と契約をしてるかしてないかだ。上位種との契約とは、この世界に存在する、精霊や天使、悪魔などといった、上位種と契約することだ。契約することによって、莫大な力を得ることができるが、試練を乗り越える必要がある。その試練を乗り越えたものには上位種の力の一端が使用することが出来る。


 そして今日、俺は10歳になり、上位種との契約を行う。この試練を乗り越えなければ、俺がアイサを殺す事は、不可能に近くなるだろう。


 「頑張るんだぞ、ルイズ」


 「お兄ちゃん、頑張って」


 「頑張るのよ、ルイズ」


 アイサと、妹が加わった家族が、俺を応援してきた。


 「じゃあ、行ってくるよ」


 上位種との契約は、床に大きな魔法陣が書かれた部屋で行う。この魔法陣に自分の血を垂らした後、目を瞑り、心の中で上位種に呼びかける。これに答えた上位種が、試練を与え、それを乗り越えたら契約完了となる。試練の内容は様々だが、どれも時間がかかり、3日間部屋から出られないこともあるそうだ。


 「早速、やりますか」


 血を垂らした後、目の瞑り、上位種に呼びかける。すると、一瞬の浮遊感が俺を襲う。目を開けた先に広がっていたのは、真っ白な空間に立つ3人の女だった。


 「あんたらが、上位種か?」


 真ん中に立っていた、身長150cmぐらいの、雪のような真っ白な髪を生やした美少女が答えた。


 「失礼ね、私たちは上位種なんかとは比べ物にならない、最上位種よ」


 「最上位種?それで、契約はできるのか?」


 「えぇ、もちろん。私達の試練を乗り越えれたらね」


 今度は、右側に立っていた、金髪碧眼の美女が答えた。


 「じゃあ、3人の試練を乗り越えたら、3人全員と契約できるの?」


 「3人全員の試練を乗り越えれたらな。でも、人間には無理だろうな」


 絹のような漆黒の髪をポニーテールにし、吸い込まれるような赤眼の美女が答えた。


 「そうか、お前らの試練って何?」


 「試練の内容は、私達の魔法に耐えるだけよ」


 「わかった、さっさと始めてくれ」


 「じゃあ、我からやるぞ」


 黒髪の女が前にやって来た。


 「一人ずつやるのか?」


 「ん?そうだ、当たり前だろ?」


 「めんどくさい、全員一気にやれ」


 「はっ?お前馬鹿なの?一気にやったらお前、廃人になるぞ?」


 「構わんから、さっさとやれ」


 そう言うと、3人の女が目の前までやって来た。


 「あなた、試練を舐めすぎよ。もう、止めてって言っても遅いんだからね。後悔なさい」


 「ハァーせっかく、イケメンと契約できると思ったのに。こんなに、馬鹿だったとは残念…」


 「我もガッカリしたぞ」


 そう言い、3人は俺に向けて、魔法を放ってきた。その瞬間、今度は真っ暗な部屋にいた。そして、足元にはたくさんの死体があった。よく見ると、それは俺が殺してきた人達だった。


 死体はおもむろに起き上がり、俺の首を絞めてきた。抵抗しようとしても、相手に触れることができず、されるがままだ。しばらく首を絞められた俺は、意識がなくなった。


 目を覚ますと、また暗闇の中にいた。そして、今度は心臓を刺されて殺された。また目覚め、また殺される。何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も


様々な死に方をした。体感では何万年も殺され続けたが、実際には数秒しか経っていない。最初は抵抗出来なかったが、段々と慣れてきた。そして、また殺されそうになったとき、今度は俺が相手の首を絞めた。


 「やっと、やっと殺せたぁ」


 そこから俺は、何度も殺したし、何度も殺された。もう何年経ったかはわからない。それでも、俺は殺し続ける。


 「あれ?終わっちゃった?」


 もう、死体は起き上がらなくなった。それと同時に、俺は元いた真っ白な空間に戻ってきた。そこには、俺に試練を与えた最上位種がいた。


 「おい、試練は終わりか?」


 俺が声を掛けると、3人が一斉に振り返った。


 「えっ…あの魔法に耐えたの…?」


 「うそでしょ…」


 「我々の魔法が……」


 「終わったんなら、早く契約しようぜ」


 すると、黒髪の女が俯き、笑い始めた。


 「クックック、面白い!お前とは10割契約をしてやろう」


 「10割契約?」


 「我の力を全て使えるようになる契約だ」


 「ちょ、正気!?それじゃ、奴隷みたいなもんよ」


 「こいつが主ならば、構わん」


 「私も、10割契約にします」


 「二人とも本気?」


 「えぇ、だって、あの魔法に耐えたんですよ。この人はもう、人間という枠組みを超えてます。この人になら、従ってもいい」


 「あああぁぁ、もう!なら私も、10割契約にする!!」


 「それで、契約ってどうするの?」


 「今から教える、私達の名前を呼んでくれたら、私達がそれに答えて契約完了よ」


 「わかった、じゃあ、お前たちの名前を教えてくれ」


 「私は、女神アイリス」


 「僕は、精霊王リル」


 「我は、魔神ロベリア」


 「俺と契約を結べ、アイリス、リル、ロベリア」


 「「「我等、汝とここに契約を結ぶ」」」

 


─────────────────


キャラの台詞がごちゃごちゃしててすいません。


アイリス→金髪碧眼の女神。面食い

リル→白髪金眼の精霊王。ボクっ娘

ロベリア→黒髪赤眼の魔神。戦闘狂




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