第2話 

 転生して、5年の年月が過ぎた。5年間もあれば、この世界について色々知ることができる。まず、この世界は俺が、前世で遊んでいたゲーム『勇者ゆうしゃつるぎ』というゲームだとわかった。このゲームは、女神によって勇者に選ばれた平民の主人公が魔王を打ち倒すといった、剣と魔法のRPGゲームだ。


 そして、俺は『勇者の剣』に登場する主人公のお助けキャラ、ルイズに転生した。そんな俺だが、まだ5歳なので人殺しができていない。


 この世界で自由に人殺しをするとなると、誰にも縛られない力がいる。前世では、複数人に囲まれたら逃げる事も出来ないし、銃の前では何もできずに、取り押さえられるだけだった。


 しかし、この世界には魔法がある。魔法を極めれば、複数人だろうが銃だろうが、関係ない。まぁ、この世界に銃はないんだけど。


 なので、俺は今、ひたすら魔法の訓練をしている。魔法を使う源、魔力。その魔力を体内に巡らせたり、魔力を外に放出したりして、魔力操作の練習と、魔力量を増やす訓練をしている。その訓練を1歳の時から行っている。そのおかげで、宮廷魔術師である、父親の魔力量と同じぐらいにまで増えている。けれど、俺は満足しない。今日も自室で訓練をしていた時、ドアがノックされる。


 トンットンッ─


 「どうした?」


 「ルイズ様、ヴァール様がお呼びです」


 ヴァールとは、俺の父であり、侯爵家当主である。父親に呼ばれた俺は、部屋を出て父親の部屋に向かう。


 父親の部屋についた俺は、扉をノックする。


 トンットンッ


 「お父様、ルイズです」


 『あぁ、入ってきてくれ』


 俺は扉を開け、部屋に入った。そこにいたのは、銀髪金眼で鷹のような鋭い目つきをした男がだった。


 「それで、お父様、なんの用でしょうか?」


 「今から、魔法適性を調べる」


 魔法適性とは、魔法には属性があり、自分が使える属性のことだ。属性は基本属性の火、水、土、風、そして希少属性の雷、氷、光、闇がある。ゲームでのガイルは、光と火の適性があった。基本的に、魔法適性は1属性だけだが、稀に2属性持ちが生まれる。


 「随分急ですね」


 「あぁ、お前は賢いから、早めのうちに魔法の訓練をしてもらう。家庭教師も、もう呼んである。ほんとは俺が直々に教えてやりたかったんだがな、宮廷魔術師は忙しいからな」


 魔法の訓練は、本来ならば7歳から始める。なので、5歳の俺が魔法の訓練をするのは早すぎる。まぁ、もうやってるんだけど。それに、精神年齢は22歳だし。


 「なるほど、わかりました」


 「では早速、魔法適性を調べるか」


 父親は、棚から水晶のようなものを取り出した。


 「これは、魔法石と呼ばれる物だ。ここに手をおいて、魔力を流してみろ」


 ゲームと同じように、光と火の適性があるだろう。そう思い、魔力を流し込んだ。


 すると、水にインクを落としたかのように、色が広がっていった。


 







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