第17話:桃はアイドル?

猫屋敷からパーティーをするから遊びに来いってご招待されたので

俺は桃を連れて別荘へ遊びに行った。


別荘に着くとすでに何人かの友人たちが来ていて、そこに澪もいた。


「大ちゃん、いらっしゃい・・・桃ちゃんもいらっしゃい・・・」

「さ、さ上がって上がって」


シモは快く俺と桃を迎えてくれた。


「だ〜いちゃん、桃ちゃんも元気?」


「ああ澪も・・・元気してたか?」

「うん、元気で楽しんでるよ」


結局澪はシモといい関係になってよかったみたいだ。


パーティーなんて酒飲んでどんちゃん騒ぎをするだけなんだけど

まあ、交流と銘打っての飲み会だろう。

そうやってみんな日頃のストレスを解消しているんだ。

人間は常にドーパミンが出てるほうが幸福を感じるんだろう。


「さあ、みんな楽しんでくれ」


シモは自分の別荘ということもあって祖先してその場を仕切っていた。

飲んだり食ったりの賑やかなパーティーだった。


パーティでも話題は誰かのスキャンダルとか恋愛話。

みんな恋愛話や人の不幸が好きなのだ。


食事は思ったより豪華で美味かった。

宴もたけなわ、みんなカラオケに夢中になった。

俺は歌には自信があったが、あまり人前で歌うのは苦手だった。


その点、意外だったのは桃がめちゃ歌が美味かったことだった。


今の曲をあまり知らない桃は自分の時代の曲なんだろう。

オケなしのアカペラで歌った。

まさかの唖然。

めちゃアイドルしてるし・・・踊りや振り付けも交えてまるで芸能人の

ステージみたいだった。


あまりに上手かったので、みんなから絶賛の嵐。

アンコールなんか受けながら歌っていた。

桃にそんな才能があったなんて目から鱗。


で、俺はふと思った・・・桃は未来の時代で大学生だって言ってたけど、

アイドルか歌手もやってたんじゃないかって・・・。


歌い終わった桃が俺の横にやってきた。

だから桃に聞いてみた。

歌とか練習してたのかって、もしかしてるでアイドルしてたんじゃないかって。


そしたら・・・

「えへへ、私大学に来ながらアイドルもしてたの」

「歌を歌ってたんだわ」


「やっぱりそうなんだ・・・どうりで・・・」

「さっき歌ってる姿を見てプロみたいだって思ったから・・・」


「隠してたわけじゃないだからね」


「なんか自分でアイドルしてました、なんて言うの恥ずかしいだわさ」

「それにもうアイドルじゃねえし・・・」

「私にはアイドルなんかより大輔と一緒にいることのほうだ大事なんだわ」


それで歌もダンスも上手いんだ。

まだまだ俺の知らない桃がいる。

もっともっと深くお互いを知らなきゃ・・・一生を共にするならね。


「俺さ・・・もっと桃のこと知りたい」


「うん、これからいっぱい話すだわ・・・お互いのこといっぱい知るだわ」

「ああ歌歌ったら体が火照ってきちゃっただわぁ」

「私、少し風にあたって来るだわね」


そう言って桃は重そうなサッシ戸を開けてテラスに出て行った。

パーティーの盛り上がりがピークを終えた頃、シモが俺のところにやってきた。


桃はテラスの椅子に腰掛けて、そこから見える湖のほうを見ていた。


「澪から聞いたけど・・桃ちゃん普通の女子じゃないんだって?・・・」


「おまえさ、どこまで澪から聞いてる桃のこと」


「一応、バカみたいな作り話はほぼ」


「信じてないのか?」


「あんな話信じられるわけないだろ」

「桃ちゃんが未来から来たなんて・・・」

「俺はおまえが作った話だと思ったけどな」


「なんで俺がそんな込み入った話を作る必要があるんだよ」

「まあ、信じないなら、別にかまやしないよ」

「おまえに信じろなんて誰も思ってないし・・・」


「信じられないんだけど・・・信じるよ」

「おまえは、いい加減なウソつくような男じゃないって俺は知ってるからな」

「桃ちゃんのこと妹だってウソついたけどな」

「たださ、桃ちゃんを彼女にするために澪を俺に押し付けただろ」


「押し付けたわけじゃないよ・・・澪がおまえのことをタイプだって言ったから、

じゃ〜紹介してやろうかって言っただけだよ」


「いいけどな・・・俺と澪、気が会うから」

「いい子紹介してくれて感謝してるんだぜ」


「美容師ってだけあってビジュアル抜群だしな」


「そうか、それはよかったな」


「お互いいいふうに丸く収まってるってところか?」


「これを機にもっと、交流深めていきたいな」

「そうだな」


まあそれもいいかもしれない、下屋敷と交流を深めていたらメリットが

ありそうだかな。


にぎやかだった時間が過ぎると、みんなそれぞれシモ屋敷の別荘から

帰って行った。


桃はまだ体の火照りが醒めきらないのかテラスの椅子に腰掛けていた。


つづく。


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