第16話:澪と下屋敷。

最近は桃が部屋にいても澪は平気で遊びにやってきていた。

ライバル同士のくせに台所でいっしょに飯を作ったりしてはしゃいでる・・・

変な関係。


で、ある日、澪から下屋敷のことを聞かれた。


「ね、大ちゃん・・・最近よく、あの人に会うんだけど・・・」

「あの人友達でしょ?」


「ああ・・・シモのことか?」


「シモ?」


「俺が世話になってる出版社のダチ・・・下屋敷もことだろ?」

「なに?澪あいつのことが気になるのか?」


「あの人、もしかして桃ちゃん目当て?」


「桃ちゃんがその、大ちゃんの彼女って知ってて来てるの?」

「私も彼女だけどね・・・」


「つうか、今は澪目当てじゃないか?」

「え?私?」


「あいつ澪のことがタイプだって言ってたぞ」


「え?そうなの?私もあの人、なにげにタイプなんだけど・・・」


「まじで?」


「タイプ?・・・あいつが・・・澪の?・・・気づかなかった」


「アタックしちゃおうかな」


「え〜あんなやつのどこがいいんだよ・・・趣味悪いぞ」


「俺と全然違うタイプだと思うけど・・・」


「いいの・・・それにね」

「私たちの関係・・・このまま三角関係いつまでも続けててもね・・・」

「桃ちゃんは大ちゃんを、あきらめそうにないし」


「このさい、猫屋敷さんに乗り換えようかな」

「本当のこと言うと、桃ちゃんの手前で意地はってたけど」

「争ってるのが正直めんどくさくて・・・」


「大ちゃんとも長い付き合いだからね・・・このへんでいいかななんて思って」


「俺と別れてシモに乗り換えようって?」


「って、言ったらどうする?」


「澪の好きにすればいいだろ・・・」


「引きとめてくれないの?」

「俺より、あいつのほうが金は持ってるしな・・・ポルシェになんか乗ってるし」


「それ、まじ・・・本当?」


「それに、あいつ将来は経営コンサルタントになるんじゃないか?」


「なにそれ?」


「会社の経営や業務についてアドバイスする仕事だろ?」

「大手企業の顧問にでもなったら定期的に仕事があるから儲けはいいんじゃ

ないか?」

「普通のサラリーマンよりは稼ぐと思うそけどな」


「へ〜・・・そうなんだ・・・」

「私が猫屋敷さんに乗り換えても大ちゃんはヤキモチとか焼かないの?」


「俺って意外と冷めてるから・・・」

「それに澪を束縛したりはしないよ」


澪がシモに行ってくれたら桃と大手を振って一緒にいられる・・・。

たぶんその時、澪も打算的になってたと思う。

シモが金持ち・・・将来、経営コンサルタントに関しては適当なこと言ったけど、

澪も俺といるよりシモといれば経済的に安心だろう。


その後、澪はシモ屋敷にアタックしたらしい。

以外とこれが、うまくことが運んだようでシモにとっては青天の霹靂に

違いなかった。

つうか、男なんて女が率先して脱いだ、誰だって食べちゃうだろ?


そりゃシモからしたら棚ぼただよな。

澪みたいないい女からスカートめくって「付き合って」って言われたら

大概の男なら 「ごめんなさい」とは言わないだろう。


そう言うわけで、フェードアウト的に俺と澪は揉めることなく終わった。


猫屋敷は澪できてから俺のマンションに、ぱったり来なくなった。

俺はと言えば桃との甘くて楽しい日々を続けていた。


それは自然の成り行きだった。

そして、欲求不満だった俺はある晩、桃と結ばれた。


もしたとえば桃と結婚なんてことになっても俺の時代に桃は存在しないんだから、

正式な結婚は無理だろう。

まあそんな書類だけの関係なんて意味ないけどな。

そして必然的に子供ができる。


いやもしかしたら妊娠しないってこともありえる訳でって、取り留めの

ないことを考えてる俺。

まあ先のことをあれこれ心配しても始まらないんだが・・・。


下屋敷が澪とできたことで、別荘でパーティーを開くからって俺と桃は

シモから招待された。

だから俺は桃を連れて、シモ屋敷の別荘に遊びにでかけた。


シモ屋敷が別荘を持ってたなんて初耳。

まじで金持ちだったんだ・・・それなら澪も満足だろう。


つづく。

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