第13話:誰も自分の未来は見えない。
その後、俺と桃は、何事もなく意見が食い違うとか揉めるとかってこともなく
少しずつお互いを理解し合っていた。
すこぶるいい感じで。
でも桃目当てに下屋敷が頻繁に俺のアパートを訪ねて来るようになった。
まったく迷惑な話だが・・・今更、桃のことを彼女だとも言えないままだ。
こんなことならスーパーで会った時、俺の彼女だってはっきり言って
おけばよかった。
よく考えたら妹にしておくメリットなんかどこにもないんだ。
もしシモのクチから
嘘や誤魔化しはよくない・・・絶対そんなのは悪い結果になって俺の元に
帰って来る。
自分が撒いた種、自業自得ってことになる。
人に気兼ねして、なんで桃を妹にしておかなきゃいけないんだ・・・。
いっそシモにはホントのことを言ってしまったほうがスッキリしそうだ。
そうじゃないとやつの行動はエスカレートしていきそうだからな。
って言うか、俺と桃ってまた気持ちを意思表示してないんだよな。
だけどもう言葉はいらないよな・・・好きとか愛してるとか言わなくても
もう分かるから・・・お互いの気持ち。
ある日、桃が言った。
「私、どうなっちゃうんだわ?」
「なにが?どうなるって?」
「大輔には彼女さんがいるし・・・私は片想いのまま終わるのかなだわ?」
「どうしたの?私は負けない、って言ってたじゃん」
「勝つも負けるも、これって大輔の気持ち次第でしょが?」
「たしかに、そうだな・・・責任重大だな・・・」
「本当いうと俺にも今の自分の気持ちが分からない時があるよ」
彼女、澪がいるのに桃に魅かれてる自分もいる・・・。
彼女がいるのに他の女性に思いを寄せるなんて・・・それって 完全に浮気
じゃないか?
まさか自分が、そんな気持ちになるなんて思いもしなかった。
「私が悪いのかだわ・・・」
「桃は悪くないよ・・・」
「それなら、ふたりの女性を天秤にかけてる俺が一番悪いんだと思う」
「でも、その原因を作ってるのは私だわよ?」
「人はね、その時はベストだと思って起こした行動でもその時の条件や環境に
よって、やむなく思惑が変わってくることだってあるんだよ」
「誰も自分の未来は見えないからね・・・」
「見えたら過ちは犯さないと思うけど、でも思い通りにいかないのが人生なの」
「そだね・・・考えてもしたかないだわね」
「そうだよ・・・きっとなるようになって行くと思う」
「俺もちゃんと答え出すよ・・・」
「桃が向こうに帰れない以上、この時代で生きてかなきゃいけないんだから」
「どう気晴らしにまたデートしようか?」
「うん・・・いいねデートだわぁ」
そのうち、俺は桃か澪、どちらかを選ばないといけない時が来るだろう。
つづく。
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