第7話:桃を受け入れてやれない理由。

「そりゃ桃が俺の彼女とか恋人とか特別な関係にでもなったら、そしたら俺にも

桃を止める権利生まれるかもな」


「じゃ〜私が未来へ戻っちゃってもいいだか?大輔は・・・」


「それはそれぞれの自由だからな、言ったろ?俺は桃を束縛したくないって」


「束縛ってなにか?・・・誰でも愛し合ったらそうなるんじゃねえだか?」

「私が大輔の彼女になればいいんだわ・・・束縛されても」


「そうか・・・じゃ言うけど、もし俺が桃を抱きたいって言ったら?それを

受け入れる勇気あるのか?」


「私、処女だし・・・それはちょっと怖いだけど・・・」


「よ〜く考えてモノを言わないとな、その場の勢やテンションじゃなくて」

「俺なんかの彼女になるのはやめといたほうがいいぞ」


「なんでそんなに私を嫌がるだよ」

「大輔がどうしても私とエッチしたいって言うなら、私・・・」


「あのさ、桃が俺を好きになってくれることは嬉しいし、正直俺も桃のことは

好きだよ。

一緒に暮らしてたら情も湧くし、それがいつか愛に変わるかもしれない」

「だからさ、急がなくていいんじゃないか?」


「あと未来に帰るなって言う権利は俺にはないけど、帰らないで欲しいって

願望はあるからな・・・それは本当の気持ちだから・・・」


それも大事なことだけど、桃を受け入れてやれない理由が俺にはあるんだよ。

俺には恋人がいる・・・。

一番のネック、俺にはすでに「澪」って彼女がいるってこと。

桃はその事実を知らないで、俺のことを好きだって言ってくれてる。


もし俺が桃を受け入れちゃったら二股だろ。

三角関係のはじまりだよな・・・最近、澪の態度が冷たい、にしたって彼女は

俺の恋人には違いない。


もし桃のことが澪にバレたらやっかいだし絶対揉めるよな。

桃がここにいる以上、いつかは澪にバレることは分かってる。


一応気をつけなくちゃいけない日は火曜日、澪は美容師だから火曜日が休み。

だからたいがいは火曜日に俺の下宿を訪ねてくる。


俺は仕事が仕事だけに不規則・・・だから澪は俺の下宿に来るときは必ず

連絡して俺がいることを確認してから来る。

その時だけ桃をどこかに追い出す・・・ってわけにもいかないよな。


万が一桃が俺と恋人にならなくても、澪は絶対、桃のことをただ時空間を

迷って俺のところに来た女だとは思わないだろ?

そんな絵空事みたいな話、俺以外誰が信じるよ。


もし澪が来たら桃にはキューブにでも入っててもらうか?

それとも仮に押入れにでも桃を隠して置くとか・・・。


大家のばあさんは何故か澪だけは部屋に入ることを黙認してくれてる。

だけどその澪も最近は遊びに来ても俺の顔だけ見たら帰っていくことが多くなった。

気持ちのすれ違いもあって、なんとなく新鮮ささえ失ってる。


エッチだって、いつからしてないのか忘れてるくらいだ。

欲求不満になりそうだ・・・だから桃を見てるとダメ人間になりそうで

怖い。


つづく。

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