第6話:桃に残れって権利は俺にないから・・・。

桃が言ったとおり、彼女の作る料理は最高に美味かった。


ファミレスなんかに行くよりずっと美味いしバラエティーにとんでいる。

高級レストランなんか滅多に行くことないけど、桃の料理は高級レストランに

匹敵するくらい美味いって思った。


ふたりで朝食を食べて、ふたりで昼ごはんも食べて、そしてふたりで

晩ご飯を食べる。

まるで新婚さんみたいに・・・。

ないのは夫婦の営みだけか・・・まあ、桃とは恋人でも夫婦でもないから

それは望めない。


桃が未来から来たなんてキューブを見ない限り忘れてしまいそうだ。


「どうか?・・・美味しいか?」


「うん、美味い・・・めちゃウマ」

「料理上手いな・・・いいよな、料理が上手な奥さんって」


「できれば私も将来は誰かのためにそうなりたいだわ」

「このまま未来へ帰れなかったら、私覚悟決めて大輔のお嫁さんになろうかな」


「俺をからかうんじゃないの・・・桃が来てまだ三日しか経ってないのに・・・」


「三日もあれば充分だわ・・・」

「未来だとその日に結婚決められちゃうから」


「え?なにそれ?」


「未来はね、子供の結婚は親が決めるだわよ」


「え〜明治や大正時代じゃあるまいし・・・個人の自由はないのかよ」


「ないだわ・・・まあ、私、未来でまだそう言う経験ないけど」


「ここ、俺の時代だと恋愛も結婚も自由だけどな・・・」

「自由すぎてヤバいところもあるけどな・・・出会い系とかマッチングとか

あれってヤリモクやヤリチンやヤリマンの巣窟だろ?」


「ヤリモクってなにか?」


「いやいや、そんなこと知らなくていいから、余計なこと言ってごめん」


「でも自由があっるってうらやましいだわ」

「私、キュブが直っても、ここに残ろうかな・・・」

「まだ何も知らないけど、ここは未来より暮らしやすい気がするだわ」


「未来から見れば、過去に昔に戻って行くほど人間ものんびりしてるし

人情深いのはたしかだな、社会自体も殺伐としてないし・・・」

「桃のいた未来に行って見たいって言ったけど・・・なんとなく、いろんな

制約がありそう・・・俺は自由でいたいし・・・」


「まあ、ここに残るかどうかは、それは桃が決めることだから俺がとやかく

言うことじゃないからな」


「残れって言ってくれないの?」


「イヤ、俺にそんな権利ないから・・・」


「ここに残れって言ってくれるのかと思っただわ」

「じゃ〜どうしたら大輔に私のこと残れって言える権利が芽生えるか?」


「そりゃ桃が俺の彼女とか恋人とか特別な関係にでもなったら、そしたら俺にも

桃を止める権利生まれるかもな」


「彼女とか恋人か?」

「じゃ〜私が未来へ戻っちゃってもいいだか?大輔は・・・」


「それはそれぞれの自由だからな、言ったろ?俺は桃を束縛したくないって」


つづく。


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