第2話:大輔の部屋に居座った桃。

「あ、ごめん・・・私、「タルンドル・もも」って言うの。

「名前はね漢字で、果物の桃と同じ文字」

「ほんとは私、もっと先の未来へいくつもりだったんだけど・・・」


「たるんどる・・・もも?」


「タルンドル・桃?・・・って名前からして絶対ハーフだよな」

「まあ、たしかにハーフっぽいと言えば・・・か・・・」


冒頭でも言ったように未来では、今より日本に海外から人がたくさん入って

来てるため必然的にハーフな子が増えてるんだな。


状況が把握できない大輔はなにがどうなってるのか、そのタルンドル・桃なる

女の子に詳しい話を聞くしかなかった。


「あ、ごめんね、ちゃんと説明しなきゃ分かんねえわね」


桃は2080年から来た女子大生で20歳、大学の課題の研究論文を書くために題材に

未来の人類の生活環境ってのを選んでタイムキューブに乗って2100年にタイムリープ

したらしい。

だけど何かの故障でこの2024年の大輔のベッドの上に到着してしまったと、それが

真相らしい。


「そうなんだ・・・君の時代にはタイムマシンって言うか時代を行き来できる

技術が開発されてるんだ・・・すごいね」

「あ、だったらまた箱に戻ってここからまた2100年を目指して行けばいいんじゃ

ないの?」


「それがダメみたい・・・時代を間違えたってことはキューブが故障したって

ことになるから今のところ修理しないと未来へも私の時代に帰ることもでき

ないと思うだわ」

「私、メカ音痴だから故障直せねえし・・・もはや」


「まじで?」

「じゃ、じゃ〜どうすんの?」


「困っただわ・・・どうしたらいいか?・・・あの・・・」


「あ、俺、大輔・・・青山 大輔あおやま だいすけ

「普通に大ちゃんってでも呼んでくれていいから・・・桃ちゃん」


「大ちゃん、私どうしたらいいか?・・・どこへも行けねえだよね」


「って言われてもな〜」

「基本、この下宿、女人禁制だんだよ・・・大家に見つかったら「ここは連れ込み

旅館じゃないんだから〜」って怒るからね」

「いきなり君みたいな・・・ああ桃ちゃんみたいな子が俺の部屋にしたりしてさ、

大家のばあさんに見つかりでもしからやっかいだから・・・」


「だって・・・行くとこねえだもん・・・私、永久に・・・キューブが

直んないかぎり・・・たしかに」


出て行けとも言えない・・・だけどこのままならいずれ大家に見つかる。

どうしたもんか・・・。


改めて見ると桃はめちゃめちゃ可愛いときている・・・それだけでも部屋に

置いておく価値ありだなって大輔は思った。

部屋に女子がいるのといないとじゃ気分的に言って雲泥の差がある。


今までひとりだった、このうら寂しい部屋に桃が現れただけで部屋の空気感が

変わったことに大輔は気づいた。


なんとも言えない心地いい空気が漂ってるし甘い香りもする桃効果。


大輔は思った・・・大家に見つかったっていいやって・・・文句言われても、

なんとか誤魔化してごり押ししてなし崩しにしてしまえばいいと。


「あのさ・・・ここに居てもいいけど、俺の言うこと聞くこと、いい?」


「分かっただわ」

「私、ここにいてもいいだか?・・・とりあえず」


「いいよ・・・それしか選択の余地ないからね」


「よかっただわよ・・・大輔ありがとう」


あはは、もう呼び捨てかよ。

にしても日本語ヤバくね?・・・まじで大学生か?・・・ああハーフだから

日本語が苦手なのか?。


そう言う訳で桃は大輔の部屋に居座った。

袋小路になった桃はもっとパニックになるのかと思ったが案外ノ〜天気って

言うか、あまり細かいことに拘らない子なんだって大輔は思った。


だけどこのまま桃を監禁状態にはできない。

ずっと風呂にも入れないわけにもいかないから、どうしても下宿の共同風呂

に連れて行ってやらないといけないし・・・そうなると大家に見つかるのは時間

の問題だった。


キューブが直らない限り桃はずっと居座り続けそうだから、当面の問題は

桃の服と下着をなんとかしないと・・・女の子がひとり増えただけで、

生活必需品を揃えなきゃいけないし、いきなり諸々の問題を解決しなきゃいけなくなった大輔だった。


つづく。





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