魔王『軍！？』を養うことになりました。 〜養うって何なのかわからなくなりそうです〜

第34話 魔王を羽交い締めにしつつ、何やら不穏な空気

「うぉぉぉおおおおお！」

「国王から直々に勲章と爵位をもらえるだと……！？これはやるしかない！！ギルドに入ってハーレムを作るチャンスだ！！」

「俺はやるぞ！魔王軍の幹部を討ち取り、英雄として名を刻むのだ！！」

「私も行くわ！！こんなチャンス滅多にないもの！！」

『それでは諸君らの活躍に期待する！！』

……なんかすごいことになってしまった。

しかし、僕はこのクエストで一つ気になることがあったのでゴルド団長とやらに聞いてみた。

「すみません。質問いいですか？」

『あぁ、構わんぞ』

「死霊王とは誰ですか？かなり強いという情報ならわかりますが……」

するとゴルド団長は不思議そうな顔でこう言った。

『なんと！知らんのか！仕方ない……教えてやろう……』

そして、ゴルド団長は説明を始めた。

『死霊王とは……魔王軍幹部の1人なのだ！姿形は人型で黒いフードを常に被っておりその素顔を見たものは誰もいないと言われている！しかし死霊使いということから《ネクロマンサー》と呼ばれている！』

「ネクロマンサー……」

「うむ、その通りじゃ」

とメキアが言ってきた。

「お前なんで知ってるんだよ……」

するとメキアは胸を張って、

「妾は魔」

僕は一瞬でメキアを羽交い絞めにする。あぶねぇ.....魔王だってこの場でばれたら一瞬で終わりだ........。『では諸君らの活躍を期待する！』

こうして緊急クエストが始まった。

僕はフィオーレちゃんの方に向かった。彼女はまだ不安そうな顔をしていた。まぁ無理もないだろう……これからおそらく魔王軍幹部との戦闘になるのだから。

「フィオーレちゃん、大丈夫？」

「うん……だいじょうぶだよ」

全然そうは見えない。するとメキアはしゃがんで目線を合わせ、こう言った。

「心配するでないのじゃ！妾がついておるからな！」

とフィオーレちゃんの頭を撫でる。最初は不安そうな顔をしていたフィオーレちゃんだったが撫でられて安心したのか笑顔になった。やっぱりこの子には笑顔が似合うな……。

さて、どうしようか。この人数だ、恐らくこれから森へ向かい戦闘をするのだろう……僕は戦いたくないんだよなぁ〜……。

それに自分は魔王軍側の人間だし、やるとしても彼らに接触して事情を説明し、帰ってもらうしかないんだよな。

よし、何とかして彼らに接触して帰ってもらおう。

「メキア、フィオーレちゃんと一緒に王国に残ってもらっても良い？」

と言うと、メキアは渋い顔をした。そして小声で、

「お主……まさか死ぬ気か？」

と言ってきた。僕が死のうがしまいがどうでもいいだろう。ただ......それは言わないでおこう。

「……別に死ぬつもりも相手を殺すつもりもない。話し合いで帰ってもらうようにいって来るだけさ。本来ならメキアが行けば一発なんだけど魔王だとばれたら一巻の終わりだしな」

すると今度は呆れ顔になってこう言った。

「はぁ〜……まぁ妾は良いのじゃが……ちゃんと帰ってこいよ……もし死んだら末代まで呪うからの……」

「怖っ！？なんで末代まで呪われなきゃならないんだよ」

「そりゃ、妾の軍に必要な人材じゃからじゃ。ほれ、フィオーレよ。妾らは王都に残るぞ。ほれ、いくぞ」

「う、うん！」

そしてメキアとフィオーレちゃんは王都の中心へ戻っていった。なにかやらかさなきゃいいけど.......。

そして王国の門の前は人で溢れていた。それもそうだ、これから魔王軍幹部との戦いが始まるのだ。みんな興奮しているのだろう。しかし、そんな中で僕はある疑問を抱いていた。それは……

なんでみんな僕を見てるんだ……？