第32話 眺めのいい景色にご招待!!
店を出たはいいものの30分程度しか時間を潰せていないし、お金にも限界はあるからな……。
「おにいちゃんたちはいきたいところはないの?」
とフィオーレちゃんは聞いてきた。まっっじでいい子だなこの子。きっと聖女のようなお母さんと勇者のようなお父さんに育てられたんだろう……。うちの親もそうであって欲しかったよ全く。
「う〜ん……まぁ武器が欲しかったりするけど持ち金少ないし………。魔法袋も買えたし、なんもないかなぁ〜?」
「そうなの?わたしはほしいものがたくさんあるよ!」
「例えば何が欲しいのじゃ?」
「う〜んとね……かわいいおようふくとか!くしもほしいし、にんぎょうもたくさんほしいよ!」
なんともまぁ年頃の女の子っぽいものがたくさん出てきたな………。
「じゃあ、買ってもらえるといいね〜」
「うん!」
すると、フィオーレちゃんが振り返った。
「そうだ!おかあさんになにかしてもらったらおかえししないとだめっていってたから、ふたりにわたしのおきにいりのばしょをおしえてあげるね!」
お返しなんてもらうためにお菓子を買ったわけではないのだが、お気に入りの場所という言葉は気になった。子供のお気に入りの場所は確かに普通のような場所のこともあれば、絶景が広がっていたりすることがある。
「いいの?」
「うん!」
というわけでフィオーレちゃんについて行くことにした。
ちなみに先ほどからメキアが静かなのは、お菓子を買ってもらえなかったことでそれどころではないらしい。ぶつぶつお菓子お菓子と言っている。正直通行人にめっちゃ見られるからやめて欲しい。
数分後。
「お〜〜〜〜〜!!」
正直、別に隠れスポットというわけではなかった。しかし、王都を全て見ることができるこの場所は絶景だった。
なんて言えばいいのかわからないが……………そう。
僕は異世界に来たのだと改めて思い知らされる、そんな景色だった。
それは、王国だけではなくその奥の方に見える景色が物語っていた。明らかに自分のいた世界にはないであろう場所が遠く、そのまた遠くにあった。
「あれが……魔王城か」
「うむ……あれが我が城じゃ」
小声で話す。しかし空想の時から思っていたのだが、どうして魔王城というのはこうも豪華に作るのだろうか。こんなん居場所をバラしてるみたいなもんなのに……。
「それは、権力を示すためじゃな」
「おい、思考盗聴すな……で?権力を示すってなんぞ」
チラッと、フィオーレちゃんの方を見るが、景色に夢中でこちらに気がついていない。しかしこの会話が聞かれても困るし、何よりここはすごく高い。落ちたら大変だ。見張ってないと。
「それはじゃな………」
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