第31話 魔王にやるお菓子は無い!!!(嘘)
正直見たこともないお菓子がたくさんあるので、お菓子を作っていた者からすると色々と作り方を聞きたいものだが………今はそんなことをしている場合じゃない。
「いらっしゃいませー」
「どれが食べたい?」
僕はそう聞くと、フィオーレちゃんは、
「たくさん!」
と眩しい笑顔で答えた。フィオーレちゃんは、遠慮ってものを知らないらしい。
「わ、わかったよ………食べたい物選んできていいよ」
そう言った瞬間、メキアが目を光らせていたが『だめだ』と言う意味を込めて睨みつけたところ、意味が伝わったようでしゅん、としていた。ちょっと悪いことをしているような気がしたもののメキアが好きなだけ選んだら所持金じゃ全然足りない。少なくとも10万ロロはないと。
「ぅぅ………」
メキアが泣きそうになっている。はぁ……しょうがないな。
僕はこっそりと袋を手に取り、そっとお菓子を入れていく。まぁ、これぐらいでいいだろう。足りなきゃ雑用でもなんでもやってやる。
「ちょっとメキア、フィオーレちゃんの様子を見ていてくれないか?」
「!」
「………言っとくが、フィオーレちゃんの袋に自分の食べたいやつなんて入れるんじゃねぇぞ………?あくまでも見てるだけだからな」
「むぅぅ…………」
とぼとぼと、フィオーレちゃんの方へ向かっていった。その隙にメキア用のお菓子のお会計を済ませた。50個ほど入れたのだが正直2000ロロという安さだった。案外異世界のお菓子というのは低コストなのかもしれない。
ちなみに店員さんには事情を説明してある。
そして、フィオーレちゃんは選び終わったようで、お菓子を入れた袋を差し出してきた。
「これでいいの?」
「うん!」
見た感じ35個前後といった感じだ。この子は遠慮という言葉を知っているらしい。なぜなら他に来店していた子供は平気で50など買っていたからだ。
「それじゃ、会計しにいこう」
「うん!」
「おかし………」
さっきからメキアの様子がおかしい。明らかにしょぼぼんとしている。
「もう勇者に討伐されてこようかの……」
「いや早まるな早まるな」
お菓子買ってもらえなかっただけで死のうとするとか駄々っ子の次元じゃねぇぞ。
「じゃあ、買っても良いのか?」
「いやダメに決まってんだろ」
しゅんと、再度しょぼぼんとした。なんか可哀想になってきたが心を鬼にしないいとな………ていうか、買ったし。
「お会計は1400ロロになります」
「えっと……1400ロロですね……」
金貨を取り出し店員に渡す。
「お買い上げありがとうございました」
僕らは店を出た。
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