第26話 サイトの作る料理はおかしい。
「それでは……」
メキアが食べようとするので、一旦止めに入る。
「ちょっとまった」
「む……なんじゃ。妾はもう腹が減って仕方ないんじゃ」
「僕のいた世界ではいただきますって手を合わせながら言うんだよ。そっから食べ物を食べるの」
「そんなめんどくさいことをするのか……?」
「命をいただく行為だからな食事ってのは。いただくってのは奪うとも取れるし、もらってるともとれるが……少なくとも命がいるから僕らは生きていけるんだ。感謝するってのが筋じゃないのか?」
「むぅ……確かにそうじゃな。妾達生き物は常日頃から命をいただいておる。そんな中で妾達人魔族は食物連鎖の中から逸脱して生活しておる。じゃからこそ、命に感謝して食べねばならぬというじゃな」
「あ、ああ」
やっぱりメキア側について良かったと心から思った。
「それでは……」
みんなは手を各々で合わせ、
「「「「いただきます!」」」」
各々が食べ始めた。
アルマさんが食べ始めると同時に口から料理を入れて体の中で溶けていく様を見るのはなかなかに面白いと思った。まるで、消化液によって溶けていく人間の胃袋の様子を倍速で見ているようだ………。おもろ。
「ジロジロ見られていると食べられないのだけれど」
「まぁいいじゃん」
ムッとした顔をしながらアルマさんは食べるのを再開した。
アルマさんが自分に強く言えないのには訳がある。彼女は極端に熱いものが苦手ため、わざわざ少し冷ましてあるのだ。もちろんメキアたちのは出来立てホヤホヤである。でもスライムはコーティングができるらしいので普通であれば大丈夫らしいのだが………スライムにも猫舌という概念があるようだ。………お前らの舌どこだよ。全部スライムだろ。
「おいしぃですぅ……」
なんだか溶けているように見えるが、カシルさんってスライムじゃなくて人だよな………?
ちなみに最初に食べて熱い熱いで舌が火傷しかけていたのが目の前のカシルさんである。
そしてまるで空気のように食べているのが我らが大将、王である魔王メキアだ。信じたくはないが、5人前がもう無くなろうとしている。
「む?」
「あら!?」
「え!?」
急に3人が声を上げた。
「ど、どうしたんだ!?」
味がやばいところがあったんだろうか。
「妾の魔力が……..少し戻っておる」
………。
「は?」
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