第23話 料理名

「で、何を作るんじゃ?」

「バエトサクでいろんな食材を見つけたからそれを使って、【白ワイン香るトマトとミルクのリゾット】と、【柔らかく煮た羊肉とピーマンの甘辛炒め レタスの包み】を作ろうかと思う」

「………シロワイン?トマト?リゾット?ピーマン?レタス……?」

「こっちの世界にはそれらがないのか」

ま、別に不思議なことじゃない。ミルクってのはどうやら世界共通らしい。世界共通ってややこしいな。僕らの世界でも外国でも同じって意味で世界共通って言ってたもんな。人間ってなんでこんなに無知なんだろう。もう異世界があることぐらい察せや。だからこんなややこしい言葉を生み出してからに……。

「サイト?」

「あ、あぁ。ちょっと考え事をしていた」

「で、そのリゾット……?羊肉とピーマン?の甘辛炒めとやらは美味いのか?」

「白ワイン香るトマトとミルクのリゾットな。ま、即興で考えた名前だし正式名称じゃないんだが。ま、トマトとミルクのリゾットだと思ってくれればいいぞ。それに二つ目はそのままだからパスで。ま、美味いのは間違いないぞ」


ま、僕が成功したらの話だがな。


※彼は二週間ぐらい料理をしていません。


「そうなのか…..!?」


リゾットとか作るのいつぶりだ……?洒落たもん……まぁそこまで難易度高くない料理だけど奥が深かったりして昔はよく作ってたが……最近は純粋に作業だったからリゾットとか作ってなかったし……。


「とりあえず、そこに座っとけ」

厨房にあった椅子に座らせるように指示。遠くで覗いてきているカシルさん(仕事終わりのすがた)。アルマさんは熱いのが無理な(溶ける)ため、別室で待機。

正直めっちゃ苦労した。


※アルマは一部分を溶けないようにコーティングすることができるが、全体には無理なため、部屋中暑い厨房に入るとすぐさま溶けてしまう。



——数十分前——


「いやよ!私だって間近でサイトの調理が見たいわ!」

「いやあんた溶けるでしょうが!厨房貸してくれてる宿の人たちに申し訳ないし、なんなら魔族だってことバレるだろうが!!それに溶けて足元に絡まれても困るんだよ。滑って料理全て床におジャンヌしたらどうすんだボケ!」

「おジャンヌ……?そ、それでも見たいのよ!」

「ま、また今度見せてやるから!だから落ち着けって!!」

いくら物理無効貫通がありアルマさんにどれだけでも強く触れることできたとしても、相手は魔王軍幹部四天王だ。魔王の最後の柱ある以上力も相当に強い。今は全然本気じゃないと思うが、それでも脚力と腕力が強化されている僕が押されそうなのだ。

「本当ね?言質とったわよ」

するとアルマさんが取っ組み状態から離脱した。

「はぁ……はぁ……ただ料理するだけなのに……こんな苦労せにゃならんのだ……」



——現在——


「さてと……まずは食材の確認からするか」

念の為………もし材料を見間違えててないなんてなったら速攻でメニューを変えねばならない。………変えたところであいつらが気づくとは思えないが……それはそれでなんか嫌だ。嘘をついたみたいで。まぁ嘘はついてるが。

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