第22話 誰に喧嘩売ったか魂に刻みこめ

「お前……」

僕は現在フローと対談をしていた。

理由は、フロー直々に呼び出されたからである。


ちなみにあの出来事(※21話参照)から数時間経っている。話にならなかったので、アルマとメキアの襟の部分を掴んで、ギルドから追い出した。そして話は多少円滑に進み、無事依頼完了という運びになった。


「なんだよ。お前と違って僕は暇じゃないんだ。しょうもないことだったら羽交い締めで気絶させるぞ」

「俺らをこんな目にしておいていいのか?」

「どういう意味だよ」

「俺の隊は4番隊。1番隊の隊長や長が攻めてくるぞ」

「そいつらって強いのか?」

「当たり前だろ!魔王軍幹部と殺り合えるぐらいには1番隊の隊長は強いのさ!それに長に関しては魔王軍幹部四天王と殺り合えるぐらい強いのさ!」

「ふーん……そっかそっか……つまり君たちはそういう奴らなんだな」


そして僕はフローの耳元まで顔を近づけ、小声で言葉を発す。


「そういえば、他言無用でお願いするんだが………」

「なんだよ」

「僕、魔王軍なんだよね」

「は?」

「いやぁ……言うタイミングがなくてさぁ……。それに、自分って四天王クラスと同格の権限を持つのさ」


※虚偽ではなく本当のことで、メキア直々に魔王軍に欠かせない人物だと明言されています。


「そ、そんな嘘に騙されると思うか?」

「ま、信じないならそれでいいさ」

「……………っ」

「ただ………もし他の仲間が来たら知らせておけよ?もし自分を襲うのなら、魔王軍と全面戦争することになると」

「くっ………」

そして僕はやつの前にとあるものを置いて退室した。


それは、現魔王しか持っていないとされる(事実魔王しか持っていない)、魔剣『グラタン』……ではなく『グラニア』。


「こ、これって………嘘っだろ……」

と言うような悲痛にもにた声が後ろから聞こえてきたのだった。


でもお前は罪なき人を襲い続けあまつには、殺しも働いた。到底許されることではない。それにきっとあの後メキアも殺していたんだと思うと心底キレそうだ。

あんな純粋で人間よかよっぽど綺麗な魔王が殺されてたまるかよ。


「せいぜい自分が誰に喧嘩を売ったのか後悔しとけ」


自分にそんな価値があると遠回しに言っているようで嫌だが仕方がない。圧倒的な力で相手の恐怖を仰ぎ抵抗する気を失わせるのは定石だからな。




「それにしてもサイトよ。お主、妾のグラニアを知らぬか?」

「ああ、それならとあるところにおいておいた」

「え?」

「まぁ大丈夫さ。少ししたら戻ってくるさ」


魔剣『グラニア』にはさまざまな力があるが、その力の二つである記憶性と絶離性は一度持ち主と決めた相手は忘れず、さらに持ち主から離れても必ず戻ってくるという性質を持ち合わせている。だから少ししたら戻ってくる。


「何しとるんじゃ!!!!」

「すまんて。とある人物……いや集団に誰に喧嘩売ったかを知らしめなくちゃならなくてよ」

「それにしたって……まぁ良い。それで今回はサイトが料理を作るのか?」

「ああ。いつまでも宿飯じゃなんか味気ないからな。今回は宿の厨房を貸してもらえることになったんだ」


ちなみにロロに関しては、依頼解決により10000ロロもらった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る