第20話 こんな森、さっさと出るに限る

「こ、これは………」

「ん?何かおかしなところがある?」

「流石にやりすぎじゃないかしら………」

「灯りが必要だし、逃げられたら困るしでこうしたんだよ」

「だからって………」

「何だよ。ここに着いた途端体の震えがおさまったくせに。文句あるのか?」

「しょうがないじゃない!暗闇は怖いんだから!」

「………あっ毛虫」

アルマさんの右肩上あたりを指差した。もちろん、嘘である。

「ギャァァァァ!??!?!?!?!?!??!?!?!?!」

ものすっごい速さで木に登っていた。もちろん、メキアを担いだまま。

「ちょ、おい。メキアの顔が埋まってるって。ぶくぶくしてるって」

メキアの顔がアルマさんに埋まってしまっている。息ができないようで、ぶくぶくと口から気泡が出ている。しかし、アルマさんは毛虫にビビり散らかしており、聞こえていないようだ。

「はぁ……」

僕は勢いよく地面を蹴り、アルマさんからメキアを引っ張りだす。そして、アルマさんにチョップをした。物理無効貫通が役に立った。引っ張り出した時、メキアが虹色のキノコの断片を吐き出した。

「あいたっ!?」

アルマさんが木から落ちた。


べちゃっ。


「うわぁ……グロい」

そこには『』があった。のびーんと平たくなっている。いろんなところに飛び散っているし。

「まぁスライムだから大丈夫だろう……」

すると、飛び散ったスライムがとある部分を中心としてどんどん集まっていき、元通りの姿になった。


「何するのよ!」

「いやだって……あのままだったらメキア死にそうだったし……」

「だからってチョップする必要ないでしょ!」

「まぁ目が覚めるかなって」

「…………寝込みを襲って窒息死させてあげるわ。せいぜい覚悟しておくことね」

「いいのか?僕がいなくなったら家事する人がいなくなるけど」

「うっ」

すると、

「うわぁぁぁぁぁ!?!?!?!」

という悲鳴が炎の中から聞こえてきた。

「おっと……さっさと鎮火しないとな」

「はぁ……水を出せばいいのでしょう?ウォーターポンプ」

そういうと、アルマさんは水を出した。


数分後、鎮火した。


そして起きていた奴らを羽交い締めで再度気絶させると、奴らを引きずる形で引っ張っていく。

「さっさとカシルさんに引き渡さないとな。心配させちゃうし」

「そうね。それにしても魔王様、大丈夫ですか?」

「う、うむ……少しよくなってきた……」

「ほんとバカだよな。明らかにやばいだろ虹色は」


そして無事に森を抜けた。

「うっ……眩しい……」

ずっと光が届かぬ森にいた影響で、外があまりにも眩しく感じる。これなら、夜まで待ってた方が良かったような気がする。

「眩しいわね………」


「おい」

「え?」

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