第17話 魔力察知
魔力察知……こいつらの気配が何となくわかるようになっていたのはこれのおかげだったのか。ただ、闇に紛れている時のフローの魔力がわからん。
もしかしたら、集中しなきゃいけないのかもしれない。
先ほども集中したらメキアが偽物だと、フローだと気づくことができた。
「集中…………」
……っ!わかる!フローの位置が。
「おらぁ!!!!」
後ろ右ななめ!
僕は勢いよく地面を蹴り、前転でそれを躱わす。
「避けただって!?」
少し奴は動揺しているみたいだった。この手のやつは動揺に弱い。だが動揺していてもそれが決め手にはならない。やつの回避性能がやっかいだ。
………でも、そういえばやつは今まで紙一重で避けてきた。
それは裏を返せば、圧倒的に速いというわけじゃない。あくまでも回避性能が少し高いというだけ。
今までは大きく振りかぶった一般人がしがちなパンチだった。少し自衛のために調べていたあれなら……。
僕はそれを実行すべく、フローにただひたすらに向かっていく。
「どうした血迷ったか?」
当然それは、フローには当たらない。しかし、やはりといったところだろうか。やつは紙一重でそれを躱している。
「うぎっ………」
鳩尾が蹴られた。僕はそのまま引きずる形で後ろに吹っ飛ぶ。
「やべっ」
僕はすぐに反転し、拳を放つ。
鈍い音を立ててそれは吹っ飛んだ。
どうやら吹っ飛んだ先に取り巻きの一人がいたようだ。魔力察知で何とかその存在に気づき、攻撃される前に一撃を入れた。
それで最終確認ができた。
「腕力………上がってるな」
完全な姿は見えないものの、魔力の感じからやつは伸びている。脚力といい、結構な強化が施されるようだ。
それから僕は何度も何度もフローに振りかぶったパンチを繰り出していく。
「馬鹿の一つ覚えなんだ、よ!」
再度鳩尾にやつの蹴りが繰り出されるが、一度見た攻撃は喰らってやるつもりはない。紙一重で躱わす。
「っちぃ」
やつは闇に紛れる。だがこいつも馬鹿の一つ覚えだ。僕は魔力察知でやつの位置が正確に把握できている。
「いいところにいいものが」
そこらへんに落ちてあった石を手に取り、それをフロー目掛けて投げる。
すると、キィィィンという音と共に何かが頬を裂いた。
「それは予想外だ………」
どうやら、先ほど投げた石をフローが反射したらしい。反射というか弾いたという表現が正しいか……?
だが、そろそろこいつも勘違いし始めてきた頃だ。
「そろそろ死ねよ!!!!」
突進してくる。今までで一番速い突進だ。
だが、速くてもあらかじめくる方向とタイミングがわかっていれば避けられる。
避ける同時に構えをとる。
「だから当たらねぇって!」
………構えヨシ。
このパンチはちと、速えぞ。
「ワン!」
鈍い音がその場に響いた。
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