第15話 バッド・アサシン


「え!?」

アルマさんがメキアから一歩離れる。


僕のスキルの影響なのかはわからない。養うと決めた魔王軍の人たちの気配が何となくわかる。それは、カシルさんの時にもそうだった。

カシルさんが魔王軍に入る前も確かに気配は感じ取れていた。けれど、カシルさんが魔王軍に入ると行ってから、それがカシルさんのものであるとどういうわけかわかるようになった。加入前は、あくまでも気配を感じていただけ。


「どういうわけか……お前がメキアだとは思えないんだ。メキアの気配じゃないんだ。あとアルマさん。僕ら囲まれてる」

「え!?」


周りに似たような不気味な気配があったせいで多分メキア(?)の気配に気がつけなかった。


「ふふふ……」


メキア(?)はなぜか笑った。

「認めるんだな?自分がメキアではないと」

「ふふ……そうさ」

偽メキアの姿が見えなくなった。まるで闇に溶け込んだかのように。

「俺の名前は、フロー。ここら辺に幅利かせてる『バッド・アサシン蝙蝠・暗殺者』のリーダさ」

バッド・アサシン蝙蝠・暗殺者……?何だその痛々しい名前は」

「痛々しいって言うなや。かっこいいだろ!?」

「いや全然」

フローね……一瞬お風呂とアフロが思い浮かんだけが、口にはしなかった。流石に怒られる。


「ってバッド・アサシン蝙蝠・暗殺者……?」

そういえば、ギルドを訪ねたときにお尋ね者集団として懸賞金かけられていたはず……。

「本来であれば不意打ちでお前らを気絶させたから金品を奪おうとしたが……バレたら仕方がない……強行突破で行かせてもらう」


周りの気配から殺気が感じ取れるようになった。殺す気じゃないよなこれ?あくまでも気……だよな?


でもここまで聞いていて、わかった。少しだけ夜目がきくようになって周りの奴らの姿が朧げに見える。深い青色の瞳が。

はなから深淵化した魔物なんていなかったのだ。奴らが、深淵化した魔物に変装し奴らをびびらせ不意打ちし、金品を奪っていただけだった。


それが分かれば十分だ。


「アルマさんは、メキアを探しに行ってくれ。一人にすると何するかわかったもんじゃないからな」

「そ、それじゃあ、サイトは!?」

「僕はこいつらを処理してから行くよ」

「でも……」

「この暗闇に続いて、急な敵の出現によって内心ビビりまくりなのはわかってるって。だからここは僕に任せて」

「………わかったわ」


メキアがもしこいつらの他の仲間に襲われているのなら尚のことやばいからな……今メキアは魔力が使えない状態。人間の女の子みたいなもんだ……危ない。


そしてアルマさんが言ったのを確認すると、


「それじゃ、やろうか」

「いいのか?仲間は多い方がいいと思うが……それに光もなくなったぞ?」

「まぁ……いいさ。戦いたくはないんだが……この状況じゃ綺麗事なんて言ってられないしな」

「ふん………後悔すんなよ?」


さて……この暗闇の中どうやって勝てばいいのやら。ま、何とかなるでしょ。

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