第14話  ブキミナケハイ

「それじゃ、魔王様を追いかけましょう」

「そうだな」

あのメキアのことだ……早くしないと何かしらやらかすに決まってる。生えている謎の木の実とかキノコでも食べているんじゃないだろうか。それで腹を抱えて悶絶なんてしていたら笑いのタネだ。いくら自分は魔王軍と人間軍の争いに参加するつもりがないからって、流石に自分の勤める?ところの一番偉い人がそんなことになっていたら恥ずかしいに決まってる。早く合流せねば。


少し進んだのだが……案の定と言えばいいのか、何とやら。


そこには腹を抱えてうずくまっているメキア………そして齧られている『水色のキノコ』がそばに落ちていた。



「はぁ……しっかりしてくれよ……仮にも魔王軍の総大将である魔王なんだからさ」

「しょ、しょうがないではないか……しょ、食欲には抗えんのじゃ。いくら魔を統べる者と言えども」

何で僕は魔王と言ったのに自分から『魔を統べる者』と呼称しているんだ……。


「ま、まぁ魔王様が無事でよかったです」

「というわけで養う上で一つ目な。普通にそこら辺にあるもんを食うな。見知っているもの、毒がないとわかっているものでもだ。死にたくなきゃな」

「毒が無いのに死ぬじゃと……?」

あたりまえだ。腐っているかもしれないし、虫入ってるかもしれないしな。ウィルスで感染されても困る。


「そういえば一向に深淵化している魔物に出会わないな……」

「そうじゃな………何か……妙じゃ」


何かの……不気味な気配はずっと感じてるんだが……どこにいるのかわからないのがもどしすぎる。一体何なんだ。


「この暗闇も悪さしているのでしょうけど」

「うむ……どうにかしてもう少し広範囲を光らせられないものか……」

「そうだな……」


………今までは二人を気にしていたけど……今だけ感じる気配にだけ集中したら場所がわかったりしないか……?


「ちょっと止まってもらっていいか?」

「む?どうしたのじゃ。そんなアラミナが恋を諦めようとして諦めきれずに葛藤しているような顔をしおって」

いや、どんな顔やねん!?というツッコミは置いておき…….僕は集中する。まるで体の痒い部分を探すかのように。


「ん?」

そう。言葉にするならそう。囲まれている。つまりは全身が痒いみたいな。けど。一つ、おかしなことがわかった。




気味の悪い気配が目の前に一つ。




「お前………ほんとにメキアか?」

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