第13話 アルマの秘密


メキアが少し待とうというので、僕らは『アルマさんだったもの』の前で待つことにした。


少しすると『アルマさんだったもの』は少しずつ形を取り戻し『アルマさん』になった。


「あ、アルマさん…….?」

「………..私、怖がりなの」

「え?」

ぼそっとそんなことを言われて聞き返すも、アルマさんは進んでしまう。


「アルマよ。先ほどは大丈夫じゃったか?」

「ええ魔王様……..不覚にも魔力操作を誤ってしまいまして…….」


いやさっきの発言から僕の大声にビビり散らかしたんだろ…….もしかしてメキアには内緒にしてるって……..ことか?

それにしても…….悪ふざけはやめておこう…….あれで死にましたーとか言われても洒落にならないからな…….人間でもあまりに怖いとショック死とか無くはないしな。


「魔王様……少しだけ待っていてくれませんか?」

「む?」

「私、サイトに話したいことがありまして……」

「え、光源はどうすんだよ光源は」


今僕たちの目に関しては『アルマさん』がいるおかげで機能している。まさか真っ暗闇の中メキアに待てというのだろうか。流石に上司にそんな扱いはしないだろう。


「私の体発光よりも効率は劣りますが、光球を作ります」

「光球……?」

「“ライトボール“」


そうアルマさんが唱えると、光の球のようなものが現れた。とても眩しい。ミニ太陽のような……電球のような輝きだ。


「うむ…….では妾は先へ進んでいよう」

そう言って、メキアは一人で進んで行ってしまった。


そして数分後に。


「で?話とは………」

「さっき、私が怖がりって言ったの覚えてる?」

「そりゃな。数分前だし」


それから、アルマさんから話されたことは、魔王様の前では完璧な従者を演じている、とのことらしい。

本当は、死ぬほど怖がりだし、熱いの苦手だし、朝に弱いし、ピーユン苦手だし、辛いのも苦手だし、動くのもそこまで好きじゃないんだとか。本人は、のんびりダラーんと過ごしていたいのだとか。別にそれを否定はしないし、いけないことだとは思わないが、流石に魔王四天王がそれだから少しだけ拍子抜けしてしまった。

何なら、僕に出会った時、内心ビビりまくりだったらしい。


「だから、このことは内緒でお願い!」

「何でこのことを僕に話したんだ?」

「だって、サイトは私たちを養ってくれるんでしょう?」

「まぁ……そうだね」

「養ってくれるからにはきっといつかはバレる。だからいっそのこと今話そうと思って」

「なるほどな」


だから、もしみんなにバレそうになったらカバーしてくれってことか。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る