第7話 ギルドの報告
…………ハッ!?
「……もう少しで夜か……」
時計がないのでわからないが、もう少しで日が暮れるようだ。
「小2時間ぐらい寝てたか……?」
そういえば、メキア達は何をしているのだろうか。
まぁいいか……残った1020ロロをどうするか考えないと……。
………ん?そういえば、アルマさんって無限にスライムを生み出せるんだよな……?それを使えば荒稼ぎ………
「いや、倫理的にアウトか」
子供達、と彼女が言っていたように彼女が生み出した確かな命。
それを金稼ぎのために潰すなんて……日本国民として怒られるなこれは。
命を大切に。それが日本の勉強で学んだことだ。主に道徳で。
「まぁ薬草集めしときゃいっか……」
そんなことを考えていると、コンコンとノックが。
「あの!カシルです!サイトさんの部屋であってますか?」
「あってます!」
「じゃあ、失礼します」
そう言って彼女は部屋に入ってきた。
「早速本題に入ろう」
僕はカシルさんを椅子に座らせて、そう言った。
「はい……!それで要件なんですけど……」
「まぁ、ギルド関係なのはわかってます」
「えっ」
そう。カシルさんの要件がギルド関係なのは、部屋にカシルさんが入ってきた時からわかっていた。なぜなら彼女は今もギルドの制服。
個人的な要件ならギルドの制服を着る必要はない。それなのにギルドの制服を着ているというのは、つまりギルド関係の要件ということだ。
「はい……!その通りです。今日はギルドとしてのお願いと報告があります」
「報告と………お願い?」
はて……?報告されるようなことしたか?
「冒険者ランクがFからいきなりCまでランクが上がりました」
「え?」
マニュアルをあらかた読んだ自分だからわかる。冒険者ランクというのはそのまま冒険者の強さを簡略化したものだ。
依頼をこなしていったり、名声が上がったりなどなど、いろいろなものによって冒険者ランクは上がっていく。
最初はFからはじまり、次にE、そしてD、C、B、Aとお決まりのように上がっていくのだが…….
自分は今、2つ分のランクをすっ飛ばしてCになった。
ちなみにCランクの最速記録は1週間。
1日でCになった人などこの世に存在しない。
「え?まじですか!?」
「えぇ……だからこんな時間に私だけなんですよ」
「……?」
僕は首を傾げた。
「冒険者ギルドには、残念ながら初心者いびりという行為があるんです。それは力のある初心者、優秀な初心者を妬んだ先輩冒険者が、彼らをいじめるというものなんです」
「あぁ……あの場所で急にCに飛び級したら僕が危ないってことで、こっそりの報告になったのか」
「はい……ギルドとしましても優秀な人材はいくらいてもいいので、このような優秀な人が離れてしまう行為はやめさせたいのですが……」
「相手も相手でギルドに貢献しているから強く言えない……ってことなんすね」
「はい……情けない話ですが」
「だいたい事情はわかりました。それで……お願いってのは……?」
「えっとですね」
そしてそれをカシルさんは話し始めた。
ー少し前ー
「あ、あれ?こ、こっちでいいんだっけ……?」
カシルは地図を見る。
「えっと………目印の建物がない……ってことは……え!?まさかの逆!?」
残り時間10分。
カシル……ガンバレ。
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