第4話 ご都合主義な力
「どのみちやるしかないってことか……」
俺は物陰からじっとスライムを観察。物陰に近づいてきたスライムへ思いっきり蹴りを繰り出す。
「馬鹿たれ!!!!」
「え?」
俺は振り返るもすでに遅し。蹴りはスライムへヒットし、スライムは吹っ飛んでいった。そして近くの岩へ激突した。
「スライムは、打撃系の攻撃が一切効かないんじゃ!!」
「え……?」
俺がそんな反応をした。もしこれを文面体で見ている神とかがいるならきっと勘違いしているだろうな。
なぜなら、打撃系が効かない。この事実に驚いたわけではない。それを聞いた後の光景に驚いていた。なぜなら、
「普通にあのスライム溶けてるぞ…….?」
「何!?」
俺が蹴り飛ばしたスライムは、溶けて絶命しているように見える。もうぴくりとも動いていないからだ。
「まさか!?」
メキアが袋(元々食料が入っていた)から、俺のスキルが記されている紙を取り出した。確か鑑定紙とかいう名前だった気がする。
俺はそのままスライムと距離を取る。メキアがこの状況を説明してくれるまで。
「か、書き込まれておる!スキルの???だった部分が!」
俺はメキアからその鑑定紙を受け取る。
そこには、
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『養いの力』
使用者の状況に合わせた能力が攻撃に付与される、身体能力が上がる。
現能力 物理無効貫通
現身体強化 脚力
現在1
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「物理無効貫通!?」
なんだそのご都合主義すぎる能力は…….。
スキル名の横にある『1』というのも気になる…..が、今はそんなことを考えている暇はない。
「倒せることがわかっただけでも万々歳。やるか…….」
それから俺は、強化された脚力を活かし、スライムに囲まれないように立ち回りながら少しずつスライムを絶命させてゆく。まぁ囲まれても足払いで解決するのだが。
「いったい誰が、私の可愛い子供を殺してまわっているのかしら?」
あらかたスライムを片付けたところで、そんな声がして、思わず振り返った。
「ゑ?」
そこには人型のスライムがいた。
そして一瞬のうちに首の数センチ横を何かが通り過ぎていった。
「ゑ?」
「アルマ!?」
その時メキアが声を上げた。
「え!?魔王様!?」
ー数分後ー
「なるほど……そんなことが起きていたのね」
どうやらメキアの読みは当たっていたようで、ここ最近のスライム大量発生はアルマがしていたことだった。どうやらメキアを探すために自身で生み出していたらしい。
「まさか魔王様が誰か教えるのを忘れて目的の魔王様を危険に合わせるだなんて…..」
まぁ本末転倒だな…..と僕は思った。
「で……こいつは誰なの?」
「こいつと言うんじゃない!我ら魔王軍を養うものじゃ」
「え?」
「一応、そんな契約しましたね…….まぁ今のところ無一文ですが」
「やっと…….見つかったんですね……」
この様子を見るに本当に苦労していたようだ。
魔王軍も生き物で結成されている組織な以上、漫画のようにかっこいいだけな訳がない。もちろんここは現実なのだから、当然現実的な問題から魔王軍も逃げることはできない。腹が減れば力は出なくなるし、そのままくたばる。掃除を放置しれ散らかしっぱなしにすれば、もちろん汚れて埃だらけになっていく。
「ん……?そういえば、風呂とかどうしてたんだ…….?」
家事をする人がいないということは風呂には入らなかったと言うことか…..?
「まぁ……..ここ数年は入ってないわね…….」
「えっっっっ!?」
「あからさまに離れるんじゃない!そこら辺は大丈夫じゃ。魔法で一応体の汚れは落としておるから」
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