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宵の頃 はじまり告げる鐘ひとつ 響く藍色 まだ夏の色


魅せられる姿や声はないけれど 指先で君を再現してみる


天空に翔けた白金プラチナ 曇り空 神にも見紛う此処TOKYO


原点に太陽掲げる灯火台 君はたしかに僕の神様


爪先に言葉を載せる 音に乗る 時が生まれる 記憶重ねる



歓声と拍手の渦に包まれて、瞬間、僕らは幻になる


一対の瞳に燃ゆるアメジスト それを火種に生まれた感情


いつの日か隣の席で会いましょう おなじ景色を共にみましょう


朝方に「虹が出てた」と青い鳥 覚えてないけどそうなんだろな


言葉とか 思い出とかで 軽薄に 君をエモさに仕立てあげてく



あの夜のきみの気持ちが知りたくて 六センチだけ其方そちらへ近づく


突風に 下顎突かれて仰いだら あの日とおなじ 斑な夕焼け


弔いに花と涙と自暴自棄 こんな供物は嫌がられるかな


宵刻よ もしも願いが叶うなら 鳥居の向こうに再会を


君がいた夏は刹那でまた巡る 生命も時間もそうであれ



指先に パッと散光 フッと夜 還らぬ君に黙祷を


君といた去年の夏はサンキュッパ 今年の夏はすこし値あがり


星のない夜に溶かした最後の煙 線香花火は 今年はいいかな


月の軌道 地球に亡命果たす星 理論が浪漫を超えゆく世界


嗚呼どうか、僕を月へと連れてって あの日の約束忘れぬうちに

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