15日目 体調不良……?
今日は帰宅して以降、夕映がずっとベッドで横になっていた。
足を伸ばして座っている私のふくらはぎを撫でながら、夕映が呟く。
「汐璃。……今日、なんだか調子悪いかも」
そう告げる夕映は、照明が暗めの部屋も相まって、顔色が悪そうに見えてくる。学校にいる時は普通に見えていたけれど、もしかして我慢していたんだろうか。
「……大丈夫? 寿命のこともあるし、今日は家で休んだ方がいいんじゃ」
「汐璃が触診してくれたら治る気がする」
「それが狙いか」
がばっと起き上がった夕映の表情は、溢れんばかりの期待でつやつやしていた。
あと、私が知ってる触診って、治るとかそういう類のものじゃないはずだ。
「嫌だったらいいよ」
「別に、嫌とかじゃないけど。……なんだかなぁ」
別に夕映に触れるのは嫌じゃない。でも、触診という意味合いは持てない。どこに触れて何が分かるのか、お医者さんでもない私は知らない。
でも、ここまで期待されていると断れないというか。
「じゃあ触るね」
「夕映が私にやるんだ……」
前言撤回。断ってもよかったかもしれない。
私のツッコミを何事もなくスルーしつつ、夕映は私の手を取ってくる。それから手首に指先を当てて、おでこに手を当てて。真剣そうな顔で呟く。
「脈は……ちょっと早め。おでこもちょっと熱いし、まさか……」
「まさか?」
「多分。今、汐璃は目の前にいる人に恋してる」
「都合のいい解釈だなあ」
「じゃあ……、ぎゅっ」
「急に抱き締めるのは触診というよりセクハラ行為じゃないかな」
お医者さんが患者さんにやったら、完全に通報案件だ。
「なんだか私もどきどきしてきた。これって、恋……?」
「多分、不整脈かな。一回、病院で診てもらったほうがいいと思う」
私がそっけなく言うと、夕映は私の胸の辺りに耳を当ててくる。
「……でも、私と同じくらい、汐璃の心臓もどきどきしてるよ?」
「不整脈だよ。一度、病院で診てもらおうと思ってたんだ」
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