2-10 深山茂(ミヤマスーパー社長)
「警察?」
「田之上先生? はい、知っています」
「はい、奥様もよく存じています」
「後援会の会長をやらせてもらっていました」
「今? はい……辞めさせて頂きました」
「え? 死んだ? ほんとですか?」
「…………」
「あ、はい……大丈夫です……びっくりしたもので……」
「はい、世話になっていました」
「そんなことありません!」
「ドマーニの社長が?」
「…………」
「でも、それって感謝はしても、先生を恨む事にはなりませんよね?」
「口論?」
「…………」
「わかりました……お話しますよ」
「献金とキックバックの上乗せを要求されました」
「はい、いつもより多く……」
「半年……いやもう少し前だったと思います」
「はい。赤字店舗もあるし、これ以上は無理だと言いました」
「そしたら、プライベートな事などでも、脅されました」
「いえ、それは勘弁してください……」
「はい。私、あの頃それで鬱になって病院にかかりました」
「もう先生の世話になって商売を続けていく自信も体力も無くなっていました」
「理央さん?」
「いえ、むしろ先生より奥様のほうがお金には厳しかったです」
「私がこれ以上は無理だと、先生にお願いしている時、奥様もいらして……酷く罵られました」
「はい、それはもう散々に……」
「はい、最終的には先生……田之上に一千万を渡して縁を切りました」
「現金です。いえ、領収書とかは、いただけませんでした。今までもいただいたことはありません」
「はい、ドマーニの社長に権利と店舗を譲りました」
「納得できる提案でした」
「いえ、笹川社長には感謝しています」
「何も無くなりましたが、破産するよりましです。むしろ、田之上と縁を切れたのですっきりしました」
「それってアリバイですか?」
「いえ、大丈夫です」
「昨日の朝、その時間は家にいました」
「水道屋さんが来ていました」
「七時半くらいから八時過ぎまで」
「一昨夜、台所の水道が水漏れで、妻が連絡しました」
「はい。朝一で来てもらいました」
「八時十五分に散歩に出かけました」
「はい、日課です」
「えっと、途中、南沢さんと少し世間話をしました」
「はい、近所の爺さんです」
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