第2話

高校一年の冬、母方の祖父祖母が交通事故にあった。

その日は結婚記念日で、二人で歩いて近くのお気に入りの喫茶店にデートに行く予定であった。その行きの途中、居眠り運転をした車に突っ込まれたのだ。


幸いにも命に別条はないが、二人とも重度の障害が残った。

ドライバーからの支払いと謝罪だけではどうにも腑に落ちない、死んで詫びてほしいほどの事故だ。


母がおかしくなり始めたのはそのあとだ。


祖母には、全身麻痺

祖父には、認知能力低下・半身不随


二人とも脊髄損傷のため、排尿障害になり寝たきりの生活になった。



母は仕事を辞めて二人の介護をすることにした。私は学校を退学せず、通い続けることになった。

稼ぎ柱の父が既にいないため島にすむ父方の祖母とも疎遠になっていた。

お金の援助はない、ヘルパーも呼べない。


私が、稼ぎ柱になることを決意した。


高校は卒業してほしいと母から言われていたので、バイトを増やし、介護費の援助・高校の授業費は自分でなんとかした。



私は私の生活で精一杯になりかけていた。

家族の崩れた音は、聞こえないふりをしていた。


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