青彩

月狼

青彩

 海。懐かしの青春の思い出。

 僕の知っている最初の君はもう居なくなってしまったけど、多分僕は君の事を忘れる事は出来ない。


 「何が好き?」

 それが君が僕に掛けた最初の言葉。唐突で僕は驚いたのに君は当然だろと言わんばかりに首を傾げた春。

 「この仏像君に似てる。」

 人の顔を仏像当たり前のように例えた修学旅行。普段何も思わない僕でさえあれは酷かったと思う。

 「君が好きだ。光栄だと思って付き合え。」

 とても告白する者とは思えない高圧的な態度をとって付き合い始めた夏。海を横目に勉強しては愚痴り合った夏。花火が咲いた時初めてを分かちあった夏。

 何気なく手を繋ぎ合った秋。何となく温かさを求めた秋。

 炬燵に居座ってだらけ合った冬。びしょ濡れになるまで投げ合った雪合戦。


 会う度に変わる君を見て思い出すのはいつもあの夏だ。青い空に青い海。海や空の色が何時何処で見ても違うように君は色を纏う。そして僕の心を惹き付けて離さない。


 「りぃんたろぉー」

 君の声が海岸に響く。僕は声のする方へ振り向き、手を振った。


 初めて会った頃の君はもう居ない。でも君は新しい君を僕に会う度見せてくれる。そして僕を愛という泥沼へ誘う。だから、


     やっぱり君は卑怯だ。


 夏の陽を浴びて煌めく水面を背に、僕は君のいる方へと歩き出した。

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青彩 月狼 @tukinoo_kami

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