第21話 エクス仮歯ア


………………

…………

……


 レンたちはミッドラル王国西門へと到着すると早速草むしりを開始した。

 今回も前回と同様に手分けしての草むしり。メルルも加わり時間短縮といったところ。


「スラのん、お前は俺の頭で待機してろ」

「わーった、相棒」

「メルルは北側な」

「わ、分かったわよ」

「俺は西門より南側の草むしりをする。それじゃ、レッツゴー!」


 ブチッブチッ


 レンは生えている草をブチブチブチとむしり取っていく。頭の上のスラのんは呑気に日光浴と【技 光合成】を楽しんでいた。


 草むしりが終盤に差し掛かった時、レンは謎のアイテムを見つけた。


「おい、スラのん、何じゃこりゃ?」

「入れ歯?」

「岩に突き刺ってんな」

「だな」

「抜いてみるか?」

「抜けるのか? 相棒」

「抜いてみせるさ」


 レンは思いっきり入れ歯らしき物を引っ張ると、すぽーんっ! と抜けて飛んでいった。

 そして、


「ガガガ、わしのを返せ」

「ぬをっ! 岩がしゃべった!」

「ガガガ、お主、わしのを返すんじゃ」

「すまん。どっかにすっ飛んだ」

「レン! この魔物は Yo!岩ヨーガン だよ! 言うこと聞かないと怒って死んじゃうんだ!」

「なぁにっ! 年寄りは大事にせんとな」

「ガガガ、怒りゲージ80%」

「や、やべえ。Yo!岩ヨーガン死んじゃうよっ!」

「急ごう相棒」




 一方メルルはというと、こちらも地道にブチブチと草むしりをしていた。

 軽くパワーアップの呪文を自分にかけて効率を上げる。


「はあ~、疲れた。少し休憩っ」


 メルルが休憩中、レンの様子をうかがうために南側に向かうと……


 ぽこーんっ!


「えっ? なになに? なんか当たった?」


 メルルが足元を見やると、入れ歯らしきものが落ちていた。


「きゃーっ! 誰かの歯ーーーーっ!」


 魔弾を飛ばしそうな勢いで叫ぶと、を思いっきり蹴り飛ばした。




 ところ変わって、レンたちがを探そうとしたところ……


 ぽこーんっ!


「ん? なんか当たったな?」

「だな」


 レンが足元を見るとが落ちていた。


「ぬあっ! すげぇよスラのん! が独りでに戻って来た!」

「おお、運が良いな相棒」

「早速Yo!岩ヨーガンに返そう」


 レンは速攻でYo!岩ヨーガンに返すと、Yo!岩ヨーガンは最高の笑みを浮かべた。

 、輝いてるよ。眩しい。


「ガガガ、わしのエクス仮歯アを抜いた者はそなたが初めてじゃ。これをやろう」


【レンは 勇者のバッジ を手に入れた】


「お、かっこいいね」

「そだな相棒」

「マジックポーチに付けとくか」


 そしてYo!岩ヨーガンが眠りに就くと、レンは草むしりのラストスパートをかけることにした。


 へとへとになりながらもきちんと草むしりを終えることができた。結局、西門の草むしりが終わったのは夕暮れ時。

 レンはメルルと合流しギルドへと向かったのであった。




//////

【メモ】

エクス仮歯アを引き抜いたレン。彼を勇者と呼ぶことにしようか……?


面白かったら応援、フォローをお願いします。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る