第20話 引っ張り合い
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レンは魔法使いメルルを仲間にすると、ミッドラル王国西門の草むしりに向かっていた。
道中、メルルがスラのんを自分の肩に横取りするものだから、レンは少し嫉妬していた。
「おい、メルル」
「なに?」
「スラのんを返しなさい」
「嫌です」
「何才だ?」
「え? あたしはぴっちぴちの18才!」
「チッ、同級か……。まあいい、ここは無理矢理にでも……」
レンはスラのんをメルルの肩から取り戻すと、メルルも負けじとスラのんをまた取り戻す。
しまいにはスラのんを引っ張りあう始末。
「や、やめて~、顔が伸びちゃうよ~! 僕で綱引きしないでよ~!」
「そうだ! 手を離せメルル! スラのんが可哀想だ!」
「レンこそ離しなさいよ! あたしはこの超絶ぷりちーなスラのんが欲しいの!」
「知らんわ! その手を離さないとスラのんの顔が『世界一顔の長いスライム』で世界記録に認定されてしまうぞ! そんなの嫌だろ? 超絶ぷりちーじゃないだろ!?」
「わ、分かったわよ」
メルルがスラのんを離すと、ゴロゴロゴロゴロォォォォ! とレンはスラのんと共に転がって行き……
何かにぶつかってようやく止まったと思ったら……
「おー、にぃちゃん、ひざじぶりじゃの」
「お、お前は不親切不動産のオヤジッ!」
「誰が不親切不動産じゃ、親切不動産じゃろがいっ!」
ゴッツッ! と鈍い音がレンの頭から聞こえた。
「おっとそうでした。それではこれで」
「まじな、あんじゃん。もう一発お礼かまざせとくれ」
「ひ、ひぇーっ!」
親切不動産のオヤジが図太い拳をレンに振り下ろす。が、レンは拳が当たる寸前でメルルの
オヤジがきょろきょろしている隙に、レンたちはミッドラル王国西門へと急ぎ足で向かうのであった。
「感謝してよねっ! まったくっ!」
メルルは少し不機嫌になったが、西門到着後、レンに感謝の土下座をされると満足そうな笑みを浮かべるのであった。
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【メモ】
メルルは助けてあげたレンの腰の低さに満足げですね。
次回は西門の草むしりに突入したいところです。
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