第19話 魔法使いメルル


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 レンの体力ゲージが上限突破した朝、スラのんと張り切ってギルドへと向かっていた。


 ギルドに到着すると、草むしり(西門)の依頼を受けることにした。

 100000ゴールドを手に入れたレンだったが、今回も道具は使わずに素手でブチブチむしり取る作戦だ。


「さあ、行くぞっ! スラのんっ!」

「わーったぜ相棒!」


 ギルドを出てミッドラル王国の西門を目指して歩く。スラのんはもちろんレンの肩に乗り、心地良い風を浴びている。


「なぁースラのん」

「なんだ相棒?」

「いやさ、俺もこう、乗り物とか乗りたいなぁーって」

「んー。疲れた?」

「いや、疲れているわけではないんだが、便利な移動手段が欲しくてな」

「ほー」

「魔法使いに転職すっかなあ」

「だ、だめだよっ! レンは天才スライムテイマーなんだからっ!」

「そおかあ?」


 二人、やいのやいのと会話をしていると、向こう側から何やらローブを着た女の子が話しかけてきた。


「あの、そのスライム可愛いですね」

「スラのん、ナンパされてんぞ?」

「いや、相棒じゃない?」

「そのスライムはテイムしたんですか?」

「ああ」

「羨ましいです。よければ譲ってください」

「いやだ」

「なぜです? 100000000ゴールド出しますよ?」

「ふぁいっ!? ご、ゴホンっ いくら積まれようがスラのんはやらん」

「相棒、泣けるぜ! スライムテイマーの誇りだよ!」

「スラのんは俺の大切な下僕しもべだからな」

「前言撤回だよ! バカ野郎!」

「ふふふ、可愛いですね」

「俺たちは今忙しいんだ。これから――」

「西門の、草むしりですよね?」

「き、キサマっ! なぜ知っているっ!」

「あたしは魔法使い。何でも知っています」

「な、何、人の心を読むとは……まさかAランクの冒険者っ!?」

「え? あたしはまだFランクだよ?」

「ぬわぁあにぃっ!? 同朋ともだちになれるかもな……!」

「あたし、パーティー追放されちゃってちょうど良いパーティー探してるんだ」

「むむ だからなんだ?」

「一緒にパーティー組まない? 一緒に草むしりをすれば倍の速さで終わるよ?」

「…………そうだな……」


 レンはしばし熟慮の上、承諾した。


「あたしはメルル、魔法使い! よろしくね!」


【魔法使いのメルルが仲間に加わった】


「い、いいのか相棒?」

「大丈夫だ、魔法使いが仲間にいれば何かと便利だ。    多分な………………」


 少し不安を抱きつつも、レンとスラのんは魔法使いメルルとかたい握手を交わした。




//////

【メモ】

これからミッドラル王国の西門の草むしり

新メンバー 魔法使いメルル



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