第18話 小さな憂鬱


………………

…………

……


 スラのんはレンの体に体当たりしながら、レンを眠りから起こそうとしていた。


「相棒~」

「んー、むにゃむにゃ」

「相棒~?」

「ん? むにゃむにゃ」

「聞こえてる?」

「なんだ? むにゃむにゃ」

「ギルドに行って来たんだけど、Aランク冒険者のアッシュさんからベッドを貰ってきたぞ」

「ぬわぁ、なんだって!? むにゃむにゃ」

「お近づきのしるしに100000ゴールドも貰った」

「ぬわぁーにぃーっ! むにゃむにゃ。1分待てスラのん、もう少しで起きられる むにゃむにゃ」

「え? 起きてるのかと思った……」


1分後……


 レンが目を開くと、スラのんは早速マジックポーチからアッシュさんからいただいたベッドを取り出した。


どんっ!


「おおー、豪華なベッドだな」

「相棒、これで筋肉痛ともおさらばだな」

「おうよ」


 レンとスラのんはハイテンションになって、ベッドの上で飛び跳ねるのであった。


「これで安眠できるぞ~」

「そだね」


 レンはベッドにボヨーンと横たわると、大の字になり眠りに落ちた。

 スラのんがレンに話しかけるも、彼の耳には聞こえていないようだった。

 スーピースーピー寝息を立てながら無防備なレンの横でスラのんも眠ることにした。




【時は夜遅く】


 夕刻に眠りに就いたスラのんは、夜遅くに目が覚めた。窓辺へと行くと、月が夜空に浮かんでいた。ぼーっと眺めていると、あかりちゃんがマジックポーチから顔を出し、スラのんの傍にやって来た。


「月明かりが綺麗ですね」

「そだね」

「ベッド、良かったですね。それに100000ゴールドも」

「うん、予想外の臨時収入だったよ」


 あかりには全てがお見通しだった。


「ドングリにもアッシュさん喜んでいたし」

「でも何に使うんだろう?」

「今度聞いてみたらいいのではないでしょうか?」

「んー、分かった」


 コロン、とあかりが転がった。ぽっと明かりが灯り仄暗い部屋をやんわりと照らし出した。


「私はまだしばらく起きています。スラのんさんはまた眠りに就いては?」

「うん」


 スラのんはレンの横に寝転ぶと、再び眠った。

 あかりは窓辺から夜の月を再び眺める。1時間ほど経って雲が月を覆うと、あかりは旧テイマーガンズのことを思い出していた。

 苦い思い出があかりを少し憂鬱にさせるのであった。



 もうすぐ夜明け……



 あかりはマジックポーチに戻っていった。




//////

2024年9月16日

少し修正しました。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る