第10話 長老の家


………………

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 スラのんはスラじいこと長老の家に向かった。


「ここですね」

「そうじゃ。してスラのんよ、スラばあをどうやって説得するのじゃ」

「僕にも策はありません。ここは正直に話した者勝ちです。正直に言えば分かってくれるはずです」

「正直に、じゃな」

「ぴちぴちギャルが話し掛けてきただけなんですよね?」

「そうじゃ、ミッドラル王国でぷらぷらしてるところにぴちぴちギャルが……。そしてばあ様に見つかった」

「それで、」

「ん? それで?」

「ぴちぴちギャルとは何もなく?」

「あったりまえじゃーっ! クラッカーじゃっ! わしを何才だと思ってるのじゃ一億と八十才じゃぞっ! そういう年頃はもう超えたのじゃっ! ばあ様だけじゃ!」

「デーモンみたいな年ですね……」

「お前をスライム人形にしてやろうか!? って違うわいっ!」


 スラのんたちが長老の家の前で賑やかしをしていると、迷惑そうにスラばあが顔を出した。


「ぬおおっ! ばあ様! 事の経緯を詳しく話そう! まずは話を聞いてくれ!」

「僕からもお願いします」

「……、入りなさい……」


 スラばあに促され家の中に入ったスラのんと長老。小一時間、夜に騒ぐなと説教を受けた後、事の詳細を話しスラばあは理解を示した。

 そして、スラのんが近くのボロ小屋に住んでいると話したところ、スラばあはミッドラル王国に所有する空き家を紹介してくれた。


「空き家は自由に使ってよい。ところでスラのんとやら、じい様をありがとう。お近づきのしるしにこれを受け取ってほしい」


【スラのんは 空き家のカギ と 白蛇のムチ と 格闘場への招待状 を受け取った】


「格闘場への招待状?」

「そう、ミッドラル王国の北区にはスライムのスライムによるスライムのための格闘場がある。今は参加できないだろうが、時が来たら力試しに参加してみるのもよいじゃろ」

「へぇー」

「カジノもあるぞい」

「じい様はお黙りっ!」

「分かりました。その時は頑張ります。それでは相棒の元に戻ります」

「相棒がおるのか、 ふむ、達者でな」

「また、会いに来ますね!」


 スラのんは長老の家を出るとレンの元へと急いだ。




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