第2話 人生山あり谷あり



………………

…………

……


 レンとスラのんはミッドラル王国へ向かっていた。


「あーもう疲れたー」

「頑張れ、相棒」

「あんなー俺の肩に乗っかってるやつに言われたくないよ」

「これでも頑張ってるんだよ、相棒」

「何を」

「道案内?」

「いや、俺に聞くなよ」

「とにかく頑張れ、相棒」


 スラのんを肩に乗せ、レンはひたすらに歩く。

 広い草原をただひたすらに。


「あーもう無理、休憩しよ」

「相棒よ、僕、こんなん持ってんのよ」

「え? 何なに?」


 ジャッジャッガジャッジャッガジャーン


「マジックポーチ!」

「おおおっ!」

「どや!」

「で、何が入っているんだ?」

「いや、……何も……。あ、さっき拾ったドングリくらいかな」

「バッキャローっ! そこは何か食べ物を頼むよ!」

「まあ、仕方ない?よね。ハハ」

「笑って誤魔化すなよ」

「笑って許して」

「……」

「……」

「まあいい。とりあえず座ろ」


 草原地帯を抜けて座れる場所を探し、そしてちょうどいい岩に腰掛ける。

 風に吹かれながら青空を眺め、しばらくして少し日の暮れ掛かった空を大きな影が飛行した。


「いやーでけーな、火龍じゃん」

「でかいな、相棒」

「あーゆーさ、乗り物に乗りたいよね」

「お金払えば載せてくれるよ、たぶん」

「俺の肩に無賃乗車してるやつの言うことかぁ?」

「気にするなよ相棒。人生山折り谷折りだよ」

「いや、それ違うから」

「え? 違う? 人生山あり谷間あり、だっけ?」

「それも違うからな。谷間は魅力的だけどな」

「正解は?」

「えち○せいか」

「相棒、そこはボケちゃ駄目でしょ……」

「人生山あり谷あり だよ。たぶんな」

「そうだったな」


 二人、バカ話をしているとあっという間に日が暮れた。

 何もない大地で二人は月に照らされ夜を迎えたのだった。



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