第9話 私

 カトウは私を、友だちだと言いました。

 そう、私たちは友だち、恋人ではありません。ですが、いつか恋人になれたらいいのに……

 カトウと海で遊んで、私は気づきました。やはり、カトウは人間で、私は人魚だということに。

 私とカトウの生きている世界は、全く違うのです。

 それが悲しくて、私は静かに涙を流しました。

 私たちはきっと恋人になれません。私が人間になるか、カトウが人魚にならなければ。

 そんなことができないのはわかっています。

 私はまた涙を流しました。

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