第8話 僕
ある日、僕は水着を着て海へ向かった。僕はレイと海で遊びたかったのだ。
レイは僕を見ると、不思議そうに首を傾げた。
「あれ、カトウ。その服は?」
「水着だよ。これで君と一緒に遊べる。今日は僕も海へ入れるよ」
「わあ、素敵!」
レイは嬉しそうだった。
僕たちは人が他にいないことを確認すると、早速、岩場から移動した。
海に入ると、水は少し冷たかったが、まだまだ暑い今日にはぴったりだった。
僕とレイは水をかけ合って遊んだり、一緒に泳いだりした。
どちらが泳ぐのが速いか競走もしたが、僕はレイに完敗だった。さすが人魚だ。
「カトウは泳ぐの遅いね」
「これでも速い方なんだけど」
中学の水泳大会では五番だった。決して遅い方ではない。
僕は少し悔しかったが、レイのかわいい笑顔にその気持ちはすっと消えた。僕はただただ、レイの表情に見惚れていた。
「なんか、すごく楽しいね! 私たちはもう、友だち?」
突然、レイはそんなことを聞いてくる。
「ああ、もう友だちさ!」
そう、友だちだ。だが、どうして僕は、こんなにもレイのことが気になって気になって仕方ないのだろう。普通の友だちなら、そんなことはないのに……
答えは出なかったが、それでいい。僕はこの時間を宝物だと思えた。
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