第20話 突然の初配信で……
栗島勇side
勇の手から真っ黒なカードが出てきた。
「……」
軽くカードを指で2回ドンドンと小突くとドローンカメラとタブレットが出てきた。
(地上世界だと初配信かな)
勇はタブレットとカメラを起動し始める。
(ライブ配信をタブレットで開始を押してサイレンスマジシャンチャンネル、スタート!!)
ライブ配信が開始される。
ダンジョン世界の娯楽要素として世界中で攻略やアイドル活動がてら配信されている。
(僕のは特殊な仕様だからな)
勇の配信は自信が喋れない為、字幕表示になる仕様で音声読み上げになっている。
なお、配信には勇は映らずに施設の背景だけを映している。
[皆さん、こんにちは]
[どうもはじめまして]
[現在プレイヤーランキング1位のサイレンスマジシャンです]
勇が伝えたい言葉を字幕にして音声で読み上げて行く。
現在の視聴者数は0である。
動画やライブ配信はかなりやっているプレイヤーは多い為、新規のライブ配信や動画は大抵見られずに終わるケースが当たり前である。
[さて初配信ですることですが、この施設を破壊しようと思います]
字幕音声で読み上げて行く。
[ちなみに破壊する理由は今、この施設はダンジョン化するからです]
[後、死人は出たりしないのでご安心してください]
[それでは目的地に向かいます]
配信しながら勇は目的地に向かって行く。
黒巣side
(早く来ないかな)
黒巣はワクワクした表情を見せていた。
「黒巣様」
施設の警備員が声をかける。
「どうした?」
黒巣は声を掛けられた瞬間不機嫌そうな表情になる。
「現在映っている防犯カメラの背景に違和感があります?」
警備員はすぐに報告する。
「違和感?」
「はい」
黒巣は違和感があるという映像の防犯カメラを見始める。
「……何もないが?」
黒巣は違和感を感じることができなかった。
「……何か背景が動いた気が」
警備員が言う。
「気のせいだろう」
「そうですね……」
黒巣と警備員側の防犯カメラには勇は映らずに背景しか見えてない状態である。
黒巣はこれから施設が大変なことになるとは思いもしないだろう。
栗島勇side
[さてさて、誰も見てないと思いますが]
[僕は今、施設の地下の奥底に誰にも見つからずに目的地に着くことが出来ました]
[ドアやセキュリティは僕のマジックですり抜けたりしましたので誰にも気づかれることなく来れました]
字幕音声で勇は解説していく
[さあてこれから僕がすることは今カメラに映っているラグビーボールサイズの黒く濁った光をしたSSダンジョンコアに用があって来ました]
ピコーンと視聴者の誰かが来た音がなった。
視聴者数1
名無しスコッパー「こんにちは、初見です」
[こんにちは]
字幕音声で勇はあいさつをする。
「チャンネル名がサイレンスマジシャンって釣りか?偽物ですか?」
[そうですね。今、配信している僕はサイレンスマジシャンではありません]
勇はチャットに字幕音声で答える。
「では、何者ですか?」
[どこにでもいる弱小配信者ですよ]
「人が映らずにただ撮るだけの配信をするだけなら誰も見ませんよ」
どんどん何かをチャットで書かれていく。
[別に見られなくても問題ないですよ]
「なんだ、自己満足で撮っているだけか」
[そうなりますね]
勇は無言な表情で字幕音声で伝える。
「どうせこれが最初で最後の配信になるだろうから見届けてあげる」
[ありがとうございます]
勇はお礼を字幕音声で言う。
「それで、これから何を配信して行くんだ?」
[これからですね、配信で映っているラグビーボールぐらいのサイズの黒く濁った光の物を解説していきます]
「それは、なんだ?」
[これはSSダンジョンコアで時間をかけて地上世界を侵食してダンジョン化してやがて人間をモンスターやアイテムに変える物ですね]
「ぷぷぷ、何そのでたらめな物は」
チャットの反応は嘘だろう信じられないという反応で返される。
「それでそのSSダンジョンコアをどうするの?」
[今からここから投げます]
「投げる?どこに?」
[空です]
「あはははははは」
チャットで笑い出す。
「何を言っているの?頭おかしいのかな?」
[別におかしいことは言ってませんし僕はまともだよ]
字幕音声で勇は素直に答える
「しかも、あなたがいるところは施設であり建物でしょ」
[そうです]
「ダンジョンじゃないんだから魔力や能力はほぼ使えないし不可能だよ。常識だよ」
ダンジョンでは100%使えるが地上世界では能力、魔力は使えても10%しか使えない。
[まあ、不可能かどうかは見ていて下さい]
「わかった、失敗するところを見届けてあげる」
(さあて、地上世界で早々にリミット外しますかね)
勇はSSダンジョンコアを掴んだ。
[後、動画配信の目的なんですが]
「目的あるんだ?」
[ダンジョンを作った神に宣戦布告して喧嘩を売る為に配信してます]
「あはははは、本当に頭ぶっとんでるね」
配信している場所の空気が歪みビキビキと何かの音が聞こえ始めた。
「え?何?」
SSダンジョンコアが青白く光始めどんどんと光が大きくなっていく。
「ちょ?これ?まっ!?魔力!!?」
(地上世界で解放しても問題なさそうだな)
勇は考えながら魔力をSSダンジョンコアに込めて行く。
「あば、あ、あ、あは、は、」
チャットの人は余りの魔力の光を見て混乱する。
[さあてやるぞ!!]
字幕音声で勇は言う。
[はあああああああああああ!!]
勇は投げる体制をとり、力強く体をバネにして魔力が込められたSSダンジョンコアを上に投げた。
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