第19話 栗島勇の存在と目的

「……どう違うんですか?」


 部下は勇に聞くと紙を見せる。


「……(地上世界では能力なし、魔力なし、なんです)!?」


「「……?」」


 勇の紙を読み終えて疑問な表情になる。


「……?」


 勇はどうしたんですか?とした表情で3人を見る。


「……つまり、勇君は無限の空間ダンジョン世界ではサイレンスマジシャンであり最強の強さを持っているということかな?」

「……」


 勇は首を横にふり紙を見せる


「……(無限の空間ダンジョンでも僕は師匠、異世界人、モンスターにもかなりやられていますから最弱で最下位ですよ)」


(((最弱?最下位?)))


 3人は驚いた。


「……仮に最弱で最下位だとしても君は無限の空間ダンジョンを攻略したんだろう」


「……」


 勇は無言でゆっくりと頷いた。


「……少なくとも地上世界では君はランキング1位のサイレンスマジシャンだろう」


 部隊長は言うと勇は紙を見せる。


「……(地上世界ではサイレンスマジシャンと証明する証拠がないので、僕は魔力なし、能力なしのどこにでもいるモブで一般人の勇ですよ)」


「証明する物は本当にないのか?」

「……」


 勇は頷いた。


「我々3人を雇いたいと言ったがどうやって無限の空間ダンジョンに行くんだ?」


 部隊長の質問に勇は紙を見せる。


「……(現在、無限の空間ダンジョンの攻略者であり保有者でもあるので僕の招待状を渡せば行けますよ)」


「仮に行ったら我々3人も出られなくならないのか?」


 部下は不安な部分を聞くと勇は紙を見せる。


「……(攻略者の僕が招待した人は出入りは自由ですよ)」


「……なるほど、ありがとう」


 部下はお礼をする。

 

「……」


 勇は3人に紙を見せる。


「……(ある程度疑問は解消されたと思いますので契約を是非お願いします)」


「……肝心の給料の話をしてないんだが」


「「部隊長!?」」


 2人の部下は声を出す。


「……我々にだって家族がいるんだし、勇君が大丈夫と言っても危険な仕事には変わりないんだから」


 部隊長は真剣な表情で言うと紙を見せる。


「……(すいません、報酬は異世界通貨になりますが大丈夫ですか?)」


 異世界通貨はダンジョンが出現してから出来た通貨である。


 主に異世界人のいるダンジョン、ギルド、武器屋、施設の利用の際に使う通貨になっており日本だと円と異世界通貨の交換は出来る。


 捕捉として世界でも異世界通貨の交換は可能である。


「……まあ、構わないが」


 部隊長は言う。


(表情的に部隊長は断りそうだね)


(黒巣様の部下でもそこそこ給料は良いほうだからね)


 部隊長の様子を見守りながら様子を見てると紙を渡す。


「……」


 部隊長は無表情になる。


「勇君、破格な良い条件ではあるが我々も気軽に仕事を辞めますとは言えないんだ?」


 勇は部隊長に紙を渡す。


「……(信じられない話をしますがこの施設はダンジョン化する可能性があります)!?」


「……どういうことだ?」


 部下は反応すると勇は紙を見せる。


「……(ダンジョン化したら施設内にいる人はモンスター、アイテムになります)!?」


 部下は驚く。


「……本当なのか?」


 部隊長は信じられない表情を見せる。


「……」


 勇は頷いた。


「我々はどうすれば良い?」


 部隊長は聞くと勇は紙を見せる。


「……(3人は車に乗って1時間程うろうろしていてください)」


「……わかった」


 部隊長は言い3人は車に乗って出発をした。




栗島勇side


(……はあ、地上世界に戻ってからいきなりめんどくさい物を見つけてしまったな)


 勇は考え始める。


(地上で引きこもり生活の予定だったけど)


 疲れた表情を見せる。


(下手をしたら実家もダンジョン化すり可能性あること考えたらそうも行かないよな)


 勇は無表情で考え呼吸を整える。


(さあて)








(配信サイレンスマジシャンを始めますか)


 サイレンスマジシャンとして目的の為に動き出そうとしていた。


 

 3人の部下side

「……部隊長、良いんですか?」


 部下は運転中の部隊長に聞く。


「何がだ?」


 部下に聞き返す。


「本当に勇君の言葉を信じたんですか?」


「まだ信じられてないさ」


 部隊長は複雑な表情を浮かべる。


「「……」」


 2人の部下も無言になる。


「勇君は異質でありながら嘘偽りが見えないんだ」


 部隊長は言う。


「紙で書いたメッセージで言葉にしていないんだが嘘偽りを全く感じ取れなかった」


「部隊長」


「ただ、嘘があるとすれば」

「「……」」


部隊長の言葉を待つ。







「弱者で最下位は絶対に嘘だろう」


「「……」」


 部下は部隊長の言葉に頷き納得した。

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