ロボくん、世界は素晴らしいね!

貴船弘海

第1話 不思議すぎる

1 ロボくん

 世界には色んな人がいるよね。


 すっごく真面目な人とか、いつもふざけてばっかな人。

 勉強がめちゃくちゃできる人とか、スポーツがチョー得意な人。

 男子も女子も、若い人もその逆の人も、本当に、この世の中には色んな人がいる。


 で、その中で――私が一番『謎』なのが、ロボくんだ。


 ロボくんは、この5年2組にいる男子で、私のとなりの席。

 なんと言うか、彼は、もぉ――ホントに、とにかくヘンなの!


 何を考えてるのか、ぜんっぜんわかんない!

 いつだってボーッとしてて、友だちとかもいない感じ。


 でもロボくんは、けっして悪い人じゃない。

 それどころか、他の男子たちより、言葉づかいがめちゃくちゃ丁寧。


 男女ともに「〇〇〇〇さん」って、きちんと『さん付け』で呼んでくれる。

 しかも絶対にフルネーム!

 たとえば私は鈴木春世はるよって名前なんだけど、ロボくんは私のことを『鈴木春世さん』って呼んでくれる。


「おはようございます。鈴木春世さん」


 そんな感じ。


 ちなみにロボくんっていうのは、彼のあだ名。

 本名はぜんぜん違う。


 でもクラスメイトは全員、彼を「ロボくん」って呼ぶ。

 なぜなら彼はあんまり感情が無い、ロボットみたいな人だから。


 ロボくんは、いつだって無表情。

 怒りもしないし、喜びもしない。

 悲しんでるところも見たことがない。


 いつだってロボくんは、カバンの中から見たこともない謎本を取り出して、ジーッと読んでいる。

 一体どこでそんな物を買ったの? みたいな謎グッズを取り出し、やっぱりジーッと見つめている。


 とにかく!

 ロボくんは、そんな風に、めちゃくちゃヘンな人なの!


 そして、このお話は――そんなロボくんと、私・鈴木春世の、ちょっぴり不思議な物語なんだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る