第16話 ミノタウロス
トーナメントから四年が経ちリアナ、カイル、リリアンは騎士の訓練校を卒業し、アイリーンも魔術師の訓練校を卒業してアルフはアルテナーハ王国の精鋭弓歩兵部隊であるレンジャー隊の訓練課程を終えていた。
騎士の訓練校を無事卒業して、エルフリードとアーチボルトの下で鍛錬を積み身長も平均的な高さまで伸びると魔法剣に長けたリアナは魔法騎士であるルーンナイトの騎士爵を与えられた。
カイルは神聖魔法と剣技に長けていた事からホーリーナイトの騎士爵を授けられていた。リアナ達に劣らずアイリーンも6属性の全ての魔法に長けた有望な宮廷魔術師として認められている、残るリリアンはその拳の力を高く評価され真っ先に近衛騎士団の一員となる事をバイロンの臣下や訓練校の校長から強く推薦されていた。
そんな中リアナ達五人は王女であるレティシアの身辺を守るプリンセスガードに任命されようと王宮へ呼び出されていた。王宮へ向かい謁見の間に着くと玉座にバイロンが座りその横にはレティシアと大きくなった大猫のネフェの姿もあった。リアナ達はバイロンとレティシアの前で膝間づく。
「よく来てくれたな、皆面を上げてくれ。今日そなた達に来てもらったのは我が娘、レティシアの身辺の警護を守る役割をそなた達に頼みたいのだ。」
「訓練校の校長達からの報告でそなたらが優秀であることは聞いておるし何より私とレティシアはそなた達を心から信頼しておる。」
「勿体ないお言葉です。バイロン陛下。」
五人の代表としてリアナが答えるとバイロンは続けてリアナ達に聞く。
「リアナ、カイル、リリアン、アイリーン、そしてアルフよ我が頼みを引き受けてくれるな?」
リアナ達五人はレティシアのため、またバイロンの信頼に応えるために全員がレティシアの身辺を守るプリンセスガードとして生涯レティシアを守る事をバイロンとレティシアに誓った。五人の誓いを聞いたバイロンとレティシアは大変喜んだ。
レティシアは早速プリンセスガードとなったリアナ達を連れて五人が訓練校などを卒業したら武具屋の装備品をプレゼントするという約束したことをバイロンに伝えてリアナ達五人とネフェを連れて城下町へと向かった。
城下町の武具屋に入ったリアナ達は真剣に装備を見定めた。
「さすがは高級武具店ね。この杖とか魔法力が高まる効果があるわね。」
「ねえアイリーン、魔法剣に最適な剣ていうのもあるのかな?」
「そうね。あんたは魔法剣の使い手だものね、でも魔法剣の使い手なんてそうそういないだろうしこの武具店にあるかは疑問ね。店主に聞いてみなさいよ、リアナ。」
アイリーンに言われたリアナは店主に魔法剣に適した剣があるか聞くと店主は答えた。
「珍しい品を欲しがるね、一振りあるにあるけど魔法剣の使い手なのかい?お嬢さん」
「はい。見せてもらえますか?」
「それはすごいね、今持ってくるよ。」
店主はカウンターの奥の部屋に向かうと一振りのバスタードソードを持ってきた。
「ほらよ!手にしてみな、お嬢さん」
「ありがとうございます。軽く剣に魔法の力を込めてもいいですか?」
「魔法剣を見られるなんて嬉しいね、お嬢さん。」
店主の許可を貰うとリアナは火属性の魔法力を刀身に込めた、するとリアナが手にしていた剣の刃は炎を纏う、店主はその様子を見て驚いた、続けてリアナは氷の属性の魔法力を剣に込めると刃を冷気が包む、残る他の属性の魔法力を刃に宿した後軽くて魔法力をよく通すその剣を気に入ったリアナは値段を聞く。
店主から破格の値段を伝えられてレティシアの負担を考えたリアナはレティシアの方を見るとレティシアリアナの様子に気づき店主にリアナの手にしていた剣のお金を払った。
カイルは丈夫な盾と鋭い切れ味のブロードソードを頼み、リリアンは拳に身に着けるナックルを、アルフは上等なロングボウとカイルと同じブロードソードをアイリーンは魔法力を高める杖をそれぞれ頼んだ。
「買って貰って悪いな、レティシア。」
「すみません、レティシア様」
カイルとアルフがレティシアにそう言うとリアナとアイリーンとリリアンもレティシアにお礼を言った。
「ありがとうよ!レティシア!」
「大事に使うわね、レティシア。」
「レティシア、本当にありがとう。」
「いえいえ、皆が喜んで頂けたようでうれしいです!」
買い物を終え店を出た後アイリーンが口を開いた。
「そろそろ、王宮に戻った方がいいわね。」
「皆さん、少しネフェの散歩を兼ねて街の様子を見たいので同行して頂けませんか?」
「わかったわよ。」
ネフェを連れた六人は街の様子を見て回わる、街の中を一通り歩き終えて街の門まで来ると太陽が沈みだしていた。王宮へと戻ろうとしたとき門が開いて外から血だらけの兵士が中に入ってきた。街の衛兵は血だらけの兵士に近づいた。
「大丈夫か!何がっあたんだ?!」
「ま、街の外の、、、巡回をしていたら、、、強力な魔物に襲われて、、、」
そう血だらけの兵士は告げると意識を失った。街の衛兵達は王宮と兵舎への伝令する者と応戦する者に分かれた、レティシアは血だらけの兵士に治癒の神聖魔法をかけてリアナ達も外で衛兵と応戦するよう頼んだ。それを聞いたリアナ達は街の外へと向かった。
「皆さん、気を付けて!」
街の外に出るとミノタウロスとオークが20体ほどいた。
「何でこんなところにミノタウロスが?!」
慌てる衛兵達にカイルは自身とリアナとリリアンがミノタウロスの相手をすると言って衛兵達にはアルフとアイリーンと協力してオークの相手をするように伝えた。
衛兵やリアナ達が武器を構えるとオークたちが襲い掛かって来ると衛兵達とアルフそしてアイリーンが応戦した。
衛兵とアルフとアイリーンが戦う中、リアナとカイルとリリアンはミノタウロスを囲み相手にする。
手にした大斧を振りミノタウロスはカイルのほうへと暴れまわる。
カイルは一撃でも受ければ戦闘不能になるであろうその大斧をうまくかわしていく。カイルがミノタウロスの攻撃を引き受けている間、リアナは武具屋で買ったバスタードソードにもてる魔法力の全てを剣へ込めていく、火属性の魔法力を帯びた刃は炎を纏う。
リアナはミノタウロスの後ろから足を目掛けて炎を纏ったバスタードソードを力一杯に振るった。ミノタウロスは切られた足から全身へ炎に包まれる。全身を炎で焼かれてしばらく悶えると倒れて絶命した。ミノタウロスを倒したリアナとカイルは残ったオーク達との戦いに加わった。
衛兵が苦戦する中アイリーンはナックルで強烈な一撃を見舞って、アルフは少し離れた場所から矢を射ってオークを何体か倒していたリアナとカイルが衛兵達に加勢した直後チェインライトニングの魔法を放とうとしたアイリーンが叫んだ。
「皆、伏せなさい!」
アイリーンの一言を聞いたリアナ達と衛兵はその場に伏せるとアイリーンは魔法を放ち、残っていたオーク達は強力な電撃に倒れた。 立ち上がったリアナ達と衛兵達はオーク達が皆死んでいる事を確認すると後を衛兵達に任せ街にいるレティシアの元に向かい合流すると王宮へと向かった。
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