第10話 それぞれの訓練所へ

 エリーが伝書鳥をリアナの住んでいた村へと向かわせてから数日後、エリーの元に村からの返答の書状が帰って来ていた。

 

 リアナ達は騎士見習いや魔術師見習いとして既に近衛騎士隊長のクリスと共に王都へと向かっており遅くてもあと数日で王都へ着くのではないかという返答だった。


 書状を読んだエリーはレティシアの元へ報告に向かう。


 「レティシア様、ご友人の方々は既に騎士見習いや魔術師見習いとしてこのカーライルの都に向かっているようで遅くとも数日後までには到着する見込みのようですよ。」


 「本当ですか?!エリー!到着したら私のもとへ!」

 

 話を聞いたレティシアは今まで見せたことのない喜びようだった。


 「分かりました。今日は乗馬の練習ですよ。レティシア様。」


 「分かりました。エリー、参りましょう。」


 ルダールに連れられてレティシアは乗馬の練習に向かった。


 その頃リアナ達は王都の近くまで来ていた。


 「見えて来たな。あれが王都カーライルだ。」

 

 「すっげえでかい街だな!?」


 「これは本当にすごいわね!」

 

 「私もここまで大きな都はみたことないよ!」


 少し離れた場所から王都を眺めたカイルとアイリーンとリリアンは圧倒されそう言った。


 「今日からあそこで生活するんだね。」


 「ちょっと不安だね、、、。」


 王都に着くと衛兵が門を開いて中に入るとまず騎士見習いや魔術師見習いが生活する寮へと向かった。寮に着くとクリスは寮長にリアナ達の事を任せて王城へと戻って行った。 


 リアナとアイリーンとリリアンは女子寮へと案内されてカイルとアルフは男子寮へと連れられた。


 「午後からは魔法の訓練校と騎士の訓練校の案内をするわよ。それまで部屋でゆっくり過ごしてなさい。それからその動物は飼っていいけど他の子らの部屋に入れないようにね。」

  

 寮長はそう言って部屋を後にした。バックにいれられていたネフェは外に出るとゴロゴロいいながらリアナに顔をこすりつける。

  

 「寮長さん、優しいね。」


 「そうね。でもネフェも飼い猫なら何か印があったほうがいいわね。」 


 「ネフェちゃんかわいいよ!」


 リリアンに撫でられるとネフェは今度はリリアンの手に顔を擦り付けた。


 午後になると女子寮の管理員の1人が部屋にくる女性の管理員に連れられてネフェを部屋に残して寮の出入り口でカイルとアルフをまった。


 少しすると男子寮の男性管理員と一緒にカイルとアルフがやってくる。


 「騎士の訓練校に行く者は私の方へ、魔法の訓練校に行く者はそちらの管理員のほうへ」

 

 そう言われてカイルとリアナとリリアンは騎士の訓練校に案内してくれる女子寮の管理員の方へと行きアイリーンは魔法の訓練校へと向かう男子寮の管理員の方へと行った。

 

 どちらの方にも行かなかったアルフは管理員に言った。

 

 「あの、弓を活かせる訓練校はないですか?」


 「弓?貴方、騎士見習いか魔術師見習いじゃないのかしら?」


 「僕は剣をあまり手にしていたわけではなく学もなくて字の読み書きも出来ません。だから騎士や魔術師になるのは難しいと思っています。でもいつか王女様や皆の約に立てるようになりたいです!」

  

 「そう、、、、」


 「アルフは村一番の狩人なんですよ!」


 アルフの真剣な顔とカイルの言葉を聞いた女性の管理員は口にした。


 「そうね、、、、。字の勉強はしなければならないけどそれなら、王国軍の精鋭弓歩兵隊、レンジャー隊に入るのがいいかもしれないわね。ただレンジャー隊には兵士になってから試験に合格して厳しい訓練をしないとなれないわ。貴方はレンジャー隊に入りたい?」


 「はい!!挑戦してみたいです!!」


 「わかったわ。貴方はここに残りなさい。この子達の入学手続きが終わったら兵士長の所に案内してあげる。」


 アルフを残してリアナ達はそれぞれの訓練校へと向かう。


 アイリーンと別れ、リアナとカイルとリリアンは騎士の訓練校へと入り、校長と顔を会わし教員から訓練校の施設を案内された。

 

 案内が終わり入学書に自分達の名前を記入すると訓練は1週間後から始まる事を告げられて寮へと戻っていった。


 寮に着くと今度はアルフが兵士長のもとへと管理員と共に向かって行った。


 リアナ達は女子寮と男子寮に分かれてそれぞれの部屋に戻ったいくとリアナとリリアンをネフェが出迎えた。


 「ニャー」

 

 「ただいま。ネフェ」


  しばらくするとリアナとリリアンのもとへアイリーンが戻ってきた。


 「アイリーン、遅かったね。」


 「ちょっと買い物してのよ。ネフェちょっとこっちにきなさい。」


 そう言ってアイリーンはネフェを抱き抱えるとネフェの首に赤いスカーフを巻いた。  


 「これで飼い猫らしくなったわね!」

 

 「ミャー!」


 「かわいい!」


 「良かったよ!ネフェ!」


 「今はいいけど大きくなったら部屋では飼えないわね。」


 そんな話をしながらもリアナ達はネフェを可愛がった、その時カイルは部屋に1人でいた。しばらくするとアルフが帰ってきてカイルはアルフに聞いた。


 「アルフ、お前、兵士になるのか?」


 「うん、5日後から訓練兵になって兵舎に移るとおもう。」

 

 「そうか、俺も絶対に騎士になるからアルフもレンジャー隊に入れるように頑張れよ!!」


 「うん!カイル頑張るよ!」


 「そろそろ食事時だな!食堂に行って見ようぜ。」


 カイルとアルフが食堂に来て少しするとリアナ達も食堂にやったきたそして食堂でリアナ達は一緒の席で夕食を食べていた。


 「リアナ、アイリーン、リリアン。僕、兵士になる事にしたよ。5日後にこの寮から兵舎に行くけど必ずレンジャー隊の一員になる!だから皆も頑張って!」


 「当たり前よ!アンタも目標できたじゃない!」


 「私も頑張る!」


 「アルフかっこいいよ!」


 アルフの決意を聞いた後しばらく食堂で夜までリアナ達は喋り込んで遅くなると部屋にもどり眠った。

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