第5話 どうしても騎士を目指したい

 レティシアが村にきてから2週間が経っていた。村の人々に慣れ、病人などを神聖魔法で癒し、その人柄から村の誰からもレティシアは好かれた。村人達の生活を自ら体験する事を願い全く経験したことの無い生活にレティシアは驚きの連続だ目指しった。


 従者のいない村での生活の大変さ、年の近いリアナ達との横並びで繋る嬉しさ

を感じていたレティシアは兄弟のような友人と呼べるようになったリアナ達を出来ることなら王都に連れていき自分と一緒に生活して欲しいと願っていた。


 そんなある日村に大きな馬車が着き護衛の近衛騎士団の騎士達が馬を降りた。近衛騎士達の中にはリアナの兄クリスもいた。


 近衛騎士達が膝まづくと馬車の中からアルテナーハ王国の英雄で王国の最高位の騎士爵トゥルーナイトの称号を持つ騎士であるエルフリードと魔術師の英雄である魔導師のアーチボルトが降りてきて馬車の脇に控えて膝まづく、最後にアルテナーハ国王バイロンが馬車から降りてきた。


 国王を見た村人達は皆膝まづいた。その様子を見たバイロンは村人達に面を上げるように言って村人達に礼を言った。


 「村の者達よ!良く我が娘を助けてくれたこの村への恩、私は生涯忘れる事はないだろう。」


 アイゼス達自警団が捕縛した野盗と騎士を近衛騎士団に引き渡して、レティシアをバイロンの所へと連れてくるとバイロンはレティシアを抱きしめた。

 

 村の人々がレティシアに別れを告げるなかレティシアと離れる事が寂しかったリアナ達も別れを告げよとしたその時、無理を承知でレティシアはバイロンとアイゼス達にリアナ達を一緒に王都の自分の元へ連れて行く事を許してくれないか頼んだ。

 

 「レティシアよ、この子らにも村の生活があり親がいる。お前がワガママをあまり言わない子である事は知っているがその願いは難しい、この子らの気持ちもあるだろう?」


 「はい、お父様、、、。」


 「この子らはお前の友人となったのか?」


 「はい、お父様。それに危険な所でも助けていただきました。」


 「そうか。そなた達の名は?」


 リアナ達はバイロンに自分達の名を告げるとバイロンは優しくリアナ達に笑顔で何か願いはないかを聞いた。

 

 願い事を聞かれたリアナはバイロンに突如、自分の願いを告げる。


 「国王様!私を騎士見習いにして頂けないでしょうか!!」


 村人達が驚く中バイロンはその言葉を聞いてリアナに本当に騎士になる覚悟があるかどうか顔を見た。リアナの顔は真剣で純粋に騎士になる事を願っているとバイロンは受け止めた。


 そしてバイロンはリアナの身体つきを見てその年頃の少女としては鍛えられている事を見抜いて言った。


 「私は構わないが、、、。」


 そのやりとりを見ていたカイルとアイリーンも自らの願いを口にした。


 「国王様、俺もこの国の最高の騎士を目指しています!俺も騎士見習いに!!」


 「バ、バイロン陛下!私は魔術師を目指しています、どうか私も王都の魔術師見習いに!」


 その様子を呆然とアルフは見ていた。

 

 三人の願いを聞いたバイロンは両親や親族の許可を得れば王都での生活の面倒を見て騎士見習いや魔術師見習いとして迎え入れる事を約束した。


 バイロンはこの村出身リアナの兄である近衛騎士隊長になっていたクリスと数名の近衛騎士を残してレティシアを連れてエルフリードと近衛騎士達そして魔導師アーチボルトと共に王都へと戻って行った。


 三人はそれぞれの両親から許しを得る為に家に向かった。


 部下達を村の広場に野営させたクリスと家に入って行ったリアナはアイゼスに口を開く。


 「お父さん!王都に行っていい?」 


 「駄目だ!リアナ!」

 

 話を聞いていたクリスはリアナの気持ちを汲んでアイゼスに話す。


 「父さん、リアナも後2年で18歳になるし剣を握らせる事を許したなら、俺を王都に行くことを許したようにリアナが見習い騎士になる事をゆるしてもいいんじゃない?」


 「クリス!お前は剣の才能があるし男子だ。それに比べればリアナは女の子で剣の才能も無い!」


 父から剣の才能がないとハッキリ言われたリアナは家から飛び出した。


 「リアナ!待ちなさい!」


 引き止めるアイゼスを無視してリアナは母が眠る丘へと向かっていった。


 家に残ったアイゼスはクリスにリアナの後を追いかけるように頼むと亡き妻を思い出していた。


 (オリビアをあの時私が離れていなければ、、、。)


 母オリビアの眠る丘へとやって来たリアナはオリビアの墓碑に向かって思った。


 (お母さん、私、お母さんを助けられなかった、だから今度は大事な人たちを守れるように強くなりたい。だから私は諦めない!)


 そう再び思ったリアナの後ろからクリスがやって来た。


 「リアナ、父さんには俺からも話すから一緒に帰ろう。久しぶりに父さんとお前に手料理を振る舞うよ。」


 「うん、兄さんいきなり家を飛び出して ごめんなさい。」


 「それは父さんにいいなよ。」


 そう言ってクリスは優しい笑顔でリアナと帰っていく。


 家に着くとアイゼスが料理を作ろうとしていた。


 「クリス手伝ってくれ!リアナはテーブルでまっていなさい。」


 そう言って二人で料理を作り出来上がると久しぶりに家族三人で料理を食べた。


 食べ終えるとアイゼスは家の奥に行って一振りの上等な剣を渡してリアナに必ず立派な騎士になるように言った。


 「ありがとう、お父さん」


 「リアナ、今日はもう休みなさい。クリス、王都についたらリアナの面倒を先輩として見てやってくれ。」


 「わかったよ、父さん」


 食事の後片付けをアイゼスとクリスがしている中リアナは二人に感謝して寝床についた。

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