第6話 皆と一緒に
アイゼスから王都へ向う事を許されたリアナは近衛騎士隊長の兄クリスと自宅でカイルとアイリーンが来るのを待っていた。
暫くするとカイルとアイリーンが自宅に尋ねに来る。
「二人とも一緒に来るの?」
「ああ!騎士見習いになりたいと言ったらお親父やお袋は喜んでいたよ。」
「私もいくわよ!お祖父様は最後まで許可しなかったけどお父様とお母様は許可してくれたわ!」
二人が王都に同行することにリアナは喜んだそしてアルフの顔が浮かんだ。
「アルフはどうするんだろう?」
「そうね、顔を出しに行きましょう。」
「アルフは一人きりだし一緒に来るように言ってみようぜ」
「そうだね!」
クリスと王都に行く事が決まった三人はクリスとアルフの家がある村の外れに向かった。
アルフの家に向かって扉を叩くと中からアルフが顔を出した。四人は王都へと行く事になったので一人暮らしで幼馴染のアルフも一緒に来ないか誘うがアルフは断った。
カイルが何故村に残るかを聞くとアルフは答えた。
「僕は皆みたいな目標もないし、剣や魔法を使えるわけじゃないから。この村でやっていくよ。」
「アルフ、アンタには弓を扱う才能があるじゃない!」
「アイリーン、その言葉は嬉しいけど、、、。」
「アルフ!一緒に行こうぜ?」
「ありがとう、でも目標のない僕はきっと皆の足手まといになる気がするんだ。」
「そんな事、気にすることないよ!」
カイルとアイリーンとリアナはアルフに一緒に来るように説得したがアルフは村に残ると断って四人を見送る為に村の出入り口に向かった。
村の出入り口に来たアルフに出発しようとしていたクリスが金貨が大量に入っている革袋を渡した。
「アルフ、それは国王陛下からの褒美だ一生暮らしていけるくらいの金貨があるぞ!達者でな!」
「アルフ!身体には気をつけなさいよ!!」
「元気でね!アルフ。」
「騎士になったら真っ先に報告に戻るからな!それまで元気でいてくれよ!」
「うん、皆も元気でね、、。」
アルフに別れを告げるとリアナ達三人を近衛騎士達は自分の乗る馬の前に座らせてクリスを先頭にして出発した。
幼馴染を見送ったアルフは革袋を手にして考えていた。
(僕には何の目標もない、、、だけど、、、、皆は僕の友達だ、、、、。)
時間が立つにつれて三人達と過ごした大切な時間を思い出していく。そして別れた事をアルフは後悔してきた。
(僕には何の目標もないけど、、、、、けど僕は皆が好きで僕は、、、、、皆と一緒にいたい、、、!)
意を決したアルフは村で唯一馬を飼っている村人の女性の家に行って馬を譲って貰えるように頼んだ。
「馬が欲しいって、アルフあんた急にどうしたんだい!?」
「ごめんなさい!おばさん、時間がないんです!これを代わりに!」
そう言ってアルフは馬にまたがって金貨の入った袋を女性に渡した。
「アルフ!気をつけていくんだよ!」
女性に見送られてアルフは仲間達の元へと馬を全速力で走らせていく。暫くするとクリスと近衛騎士達の後ろ姿が見えてきた。
馬が近いてきた事に気づいたクリス達近衛騎士団員は馬を止めると振り返った。アルフはクリスの元までたどり着くと轡を引いて馬を止めた。
「皆!クリスさん!僕も一緒に王都へいきます。」
「アルフ!」
「良く来た!アルフ!」
「ちょっと!アルフ!馬に乗る才能もあるじゃないの!?」
「俺達に付いてこれるか?」
「はい、クリスさん」
ラルフを加えたリアナ達は王都へと向かった。
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