第4話 皆の夢
村についたアイゼスは捕縛した野盗と騎士を牢屋に入れるように自警団員達に伝えるとレティシアにリアナの治療を手伝って貰うように言って、自分の自宅に戻った。
「ッ!!」
苦痛に歪みリアナから刺さった矢を抜くときあまりの痛みと出血にリアナは意識を失った。
矢を抜いた後レティシアがヒールの魔法を使うと傷口は直ぐに塞がれていった。
「レティシア、リアナは大丈夫なの?!」
アイリーンがレティシアに聞くとレティシアは頷いて大丈夫と伝えた。
皆は安堵した治療を終えたアイゼスがレティシアに何故洞窟にいたのかを聞いた。
「お嬢さん、君は何故あの洞窟に囚われていたんだい?神聖魔法が使えるなら何処かの街の司祭様の見習いかな?」
「アイゼスさん!レティシアさんはこの国の王女様です!」
アルフがレティシアが王女であることを告げるとアイゼスは驚きを隠せなかった。
汚れてはいるがレティシアの衣服が高級なシルクで出来いる事、洞窟に騎士達がいた事を思い出して納得した。
「これは失礼しました。王女様。」
そう言ってアイゼスはその場で膝まづいた。
「こちらこそ助けて頂いてありがとうございました、アイゼスさん」
「王国へ知らせを使わせます、その間は何の変哲もない田舎村ではありますがこの村でお過ごしください。」
「ありますがとうございます。」
そしてアイゼスはカイルとアルフを家に帰らせるとレティシアとアイリーンを連れてヨゼフの元に報告しに向かった。
1人きりの家に帰ろうとしたアルフは村の皆に無事で良かったと声をかけられていた。
アイゼス達がヨゼフの家を訪ねるとヨゼフは溺愛する孫娘のアイリーンの無事を知り安堵した。
アイゼスはレティシアが王女であることを話すとヨゼフは村で一番広い自分の家にレティシアを寝泊まりさせるように息子夫婦に話をした。
次の日、目を覚ましたリアナの元にアイリーンとアルフそしてレティシアが見舞いに来ていた。
「無事で良かった、リアナ。」
「リアナ!あんた本当に無茶するわね!でも助かったわ!ありがとう。」
「リアナさん、本当にありがとうございました。」
「貴方は一緒に囚われていた人?私はリアナこの村の自警団員の見習い。貴方は?」
「私はレティシアです。」
「レティシアはこの国の王女様よ。」
その言葉を聞いたリアナは慌てて起き上がり膝まづいこうとしたがレティシアに止められた。
「王国から使いが来るまでよろしくお願いします。皆さん。」
その言葉を聞いてまだこの村に慣れてないレティシアを三人は案内することにした。
あらかた案内がおわると三人はそれぞれいつも通りの生活に戻って行った。
レティシアは自分を檻から出してくれたリアナを気にいってリアナの剣の稽古を見に行動を共にした。
自警団員達が訓練する場所に来るとカイルと顔を合わせた。カイルはレティシアに挨拶してリアナに尋ねた。
「リアナ、傷はもういいのか?」
「もう大丈夫。」
「無理はすんなよ?」
「ありがとう。カイル」
自警団員達と共にリアナは素振りを終えると木剣を手にして模擬戦が開始される。
リアナは木剣を正眼に構えると相手の隙を伺う、木剣を上段に構えた自警団員はリアナの頭を目掛けて剣を振るうとリアナは素早く相手より先に胴を木剣で薙ぎ払った。
「それまで!」
初めての勝利だった。リアナはまだ自分が勝った事が信じられなかった。そんな様子を見ていた。レティシアがリアナに近づいて言った。
「リアナさんお強いのですね!」
「あはは、たまたま勝てたみたいです。いつもは負けてばかりなんです、私。」
「私の事はレティシアで大丈夫です。普段通りの話し方で接してください、リアナさん。」
「ありがとう。レティシア。」
訓練が終わるとリアナとレティシアとカイルは話しをした。レティシアは王都での生活や習い事や国王マバイロンの人柄、母を幼い時に亡くしたことを話し、リアナも幼い時に母を亡くし人を守れるように剣技をひたすら高めて大切な人を助けられるような騎士になりたい事を話した。
カイルはアルテナーハ王国の最高位の騎士爵であるトゥルーナイトの称号をもつ英雄騎士、エルフリードのような騎士になりたい夢を語った。
そんな三人の元へアイリーンとアルフがやって来て話に加わったリアナとカイルの夢を聞いたレティシアはアイリーンとアルフの夢も聞いた。
レティシアを除いた四人の中で一番教養があるアイリーンは少しの魔法が使えたが王都に言って便利な魔法を習い正式に魔術師になりたい事を語る。
自分の番になったアルフは頭を悩ませた。アルフは夢とか目標とかではなく日々狩りをして生きて行く事だけを考えてきた。その生活に不満もなかったが夢を持つリアナ達を羨ましく思っていた。アルフが自分は今の生活ができればそれでいいと皆に話た。
5人が話していると日が暗くなっていた。そしてそれぞれの家へと戻っていった。
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