第6話対話

周りの家には結界が張られていたので無事おれの家も無傷ではあったのだが、渚の心は完璧に破壊されてるだろうな


「なんで…なんで助けてくれなかったの…」


彼女の言葉は鋭い

でも、何もできなかった。 その事実がおれを無力感で押し潰しそうになる


「澪が…澪が中にいるのに、なんで、なんで何もできなかったの…」

「ごめん、おれが弱くて」


彼女の手がおれの服の裾を掴み、涙でぐしゃぐしゃになった顔を向いた僕に向けて叫ぶ。

おれはそのまま立っていることしかできなかった。返す言葉がない。

自分だって、何もできなかったことを痛いほどわかっている。

それでも、渚の表情がだんだん変わってきた。


「ごめんなさい…蒼麻君、ごめんなさい…」


渚が小さく呟く。目を伏せ、握り締めた手を少しだけ緩めた。


「私、何を言ってるんだろう…蒼麻君は何も悪くないのに」


彼女の肩が震え始め、泣き崩れるようにおれの胸に寄りかかってきた。

渚の泣き声が続く中、おれは強く彼女を抱きしめ、澪のことを心に思い描いた。何もできなかったことが悔しい。でも、今はただ渚の涙と痛みを共に感じることしかできなかった。




「落ち着いた?」

「はい」

「もっとたくさん泣いていいんだよ?」

「いや、これ以上泣いたら澪に申し訳ないです」

「そう」

「……蒼麻君」

「どうした」

「酷いことを言ってしまいすいません」

「いいよ、渚だって精神が不安定だったんだし」

「ありがとうございます」

「…話は変わるけど」

「はい、何でしょう?」

「渚は今、家がないじゃん」

「そうですね」

「おれの家に住まない?」

「…住まわせてくださいお願いします」

「いいよ」

「ご飯や家事は私がするので」

「別にそこまでしなくていいんだけど」

「すみません、それは私のプライドが許せません」


渚の目には強い意志が感じ取れた。

これは、どんなに言っても、引かないだろうな


「わかった、因みに今、渚は何が残ってる」

「残ってるといいますと?」

「…とりあえず、一旦おれの家に帰ろう」

「わかりました」


渚サイド


「こんな形で蒼麻君の久しぶりに家に上がるとは」

「まぁ、そうだね、これからここに住むんだから遠慮しなくていいから」

「ありがとうございます」


私は蒼麻君の家に上がり、蒼麻君に進められ椅子に座った。


「今日から渚はおれの家に住むことになる」

「はい」

「今、渚は自分の魔法庫に何が入ってる?」


魔法庫とは、使用者の魔力量に応じて内部の大きさが変わる特別な倉庫であり。個人専用の空間で、使用者本人しか開けることができません。魔法庫を開くためには、その人の魔力が鍵となっており、他人には決して触れられないため、安全な保管場所として非常に便利です。

さらに、魔法庫の内部では経年劣化が進まないという特性があります。


つまり、魔法庫に保管した物品は、時間が止まったかのように劣化することがなく、どれだけ長期間保管しても新品同様の状態を保ちます。このため、重要な書物や貴重な魔法具、食べ物、お気に入りの服など、時間による劣化が問題となるアイテムを安全に保存することが可能です。


使用者の成長に応じて、魔法庫の容量も拡張されるため、成長すればするほど多くの物品を保管できるようになる。こうした特性により、魔法庫は個々の魔術師にとって欠かず、非常に便利で安全な保管場所として、かならず魔法高専生は習得する魔法です。


この魔法を覚えないと単位がもらえないので私も頑張って習得しました


「教科書と服と魔道具の杖と、澪との思い出です」

「…他には」


私は考えました。

流石に好きな人であり、幼馴染でも生理用品については言えない

でも、これは言わないと、蒼麻君との生活で困ると思いますからね


「えっと、蒼麻君…」


声が少し震えた。

やっぱり恥ずかしい。どうしても直接言うのは…でも、必要なものです仕方ありません。


「その…、必要な物を魔法庫に入れてるんですけど…女性ならではの、ね、そういう物も一緒に…入れてます。」


顔が赤くなるのが自分でも分かる。でも、蒼麻君にはちゃんと理解してほしいから、最後はちゃんと伝える。


「ですから、あんまり詳しくは言えませんけど、まあ、そういうことです…」

「わかった、そういうのは今から行く渚の部屋で保管しててね」


意外とあっさりだったので私は驚いた。


「意外とあっさりですね」

「いや、まあ、生理用品はしゃあなしでしょ…おれに見られたくなかったら、部屋に置かず魔法庫に入れててね」

「…蒼麻君盗んだりしないって信頼しているので大丈夫です」

「そう、じゃあもう寝るか、おれはリビングのソファーで寝るから渚はおれの布団で寝てね」

「一緒には」

「無理」

「わかりました」


わがままはだめですね

家に住まわせてくれるんですから我慢しないと


そして私は蒼麻君の布団で寝ました。

今までベットにねったので違和感はありましたが、好きな人の匂いを嗅ぎながら寝れるので満足です

私は快眠ができると信じていました


目の前には妹の澪が立っています。しかし、その顔にはかつての優しい笑顔はなく、冷たい目で渚を見つめています。


「どうして助けてくれなかったの…?」


澪の言葉は鋭く、渚の胸を貫きました。心の中に抑え込んでいた罪悪感が、一気に表面に浮かび上がる。私は必死に否定したい、何か言いたいと思ったが、口がうまく動かない。澪の問いかけが、まるで私の心を締め付ける鎖のようだった。


「見捨てたんでしょ、お姉ちゃん…!」


澪の声が一層鋭くなり、その言葉に呼応するかのように、澪の幻影が手を伸ばし、私を攻撃し始めた。


強烈な圧力が渚の身体を押さえつけ、息が詰まるような感覚が襲ってくる。胸が苦しくなり、酸素を求めるが少ない酸素しかすえない。


「はっ…はぁ…」


声はかすれ、呼吸が浅くなる。澪の姿はますます恐ろしくなり、もがきながらも、まるで逃げ場のない悪夢に囚われたように苦しみ続けた。

助けて、蒼麻君


「なぎ……な…渚」

「っは、はぁ、はぁ」

「大丈夫か?」

「怖かった」

「そうか」


私は今日何回目かの蒼麻君に抱きついた。

蒼麻君は優しく私を包んでくれた。


「お願いします、添い寝してください」


蒼麻君は顔が赤らめながら言ってくれました


「わかった寝よう」

「本当ですか」

「そのかわり、2枚の布団でいいか」

「はいお願いします


これで快眠できるでしょう


蒼麻サイド


「あんな喘ぎ声聞きながら誰が寝れるんだよ」


とりあえず速く行くか


「よし寝よう」

「はい」



開幕速攻腕に抱きつくはおれの理性が死ぬ


「渚さん?」

「今日だけです、…駄目ですか?」


はいチート

上目遣いで目尻に少し涙をためてのそれは禁止だろ、早くナーフされろ


「…わかった」


まあ、もちろん寝付けずただ目を瞑ってただけだった。

しかし、神様は渚の心を木っ端微塵にしたいらしい


「…やめ、て…」


まじでやめてほしいのだが、神様


「、、だめ、もうやめ、、、て」


右から聞こえたのでそっちを見たら、渚が魘されていた。


「私になにを」


…一旦整理するか、もし今のが悪夢を見て魘うなされたとしたら、おれは1つの仮説にたどり着いた。

流石にないと信じたいが

渚が今日の事件の主犯やつに遠くから催眠魔法をかけられ魘されている

これは、相当な実力者じゃないと無理だ

多分、これが一番有力だろう

もしくは――


渚サイド


「な、何これ…?」

私は2度目の精神世界?に恐怖心が芽生えました。

私が怖気付いていると、突然、体の中に何かが流れ込んでくる感覚に襲われました。それは雷のように素早く、冷たく、私の体中を駆け巡ります。体がその力に耐えきれず、激しい息遣いになっていく。


「やめ、て、はぁ、はぁ、ぐ、はぁ」


何が起きているのか全くわからない。ただ、異常なほどの力が私の体を蝕んでいくのだけは確かだった。


「、、だめ、もうやめ、、、て」


しかし、そこに立っている人は力を流すのを決してやめず、逆に強くした


「蒼麻君…助けて…お願い…」


私は助けてほしかった。

言葉は届かないとわかっていたのに


「私になにを」


そこからずっと力を流されたが急に力を流すのをやめ


「もう少しの辛抱だ、モルモット君」


その言葉を聞いて私は気を失った。


aaaサイド


「ごめんて、そんなに怒らなくてもいいだろ」

「―――――――」

「でも、こうしないと彼女は力に耐えられなくなるよ」

「―――――――」

「てことで。お前も寝ろ、どうせおれの邪魔したのもお前だろ」

「―――――――」

「まぁいいけど」


これは仕方ないことなんだ


蒼麻サイド


仮説とか立てる以前にとりあえずなんとかしよう


おれは顔を赤らめながら、渚の長い髪に腕を回し渚の枕としておれの腕を捧げた。


「良き朝、、ではないな」


とりあえず、起こすか


「おい、起きろ」

「…っあ、今何時ですか」

「大丈夫、今日は土曜だ」

「よかった~」

「とりあえずおれが今日は朝ご飯作るよ」

「いいですよ、私がします」


寝不足オーラが出てるのによく言えるな


「明日からお願い、今日までおれがするから」

「わかりました」


そんなに落ち込まなくても

……っあ、そうだ


「じゃあ、今日は買い物に行こう、上下1セットは買ってあげるから」

「いいんですか」

「いいよ、今渚の持ってる服ってお気に入りのやつしかないんでしょ」

「はい」

「だったら、もう一着ぐらいないと生活に苦しむでしょ」

「そうですね…でも、お金はあるんですか」

「ああ、そこは大丈夫だから安心して高いのかってもいいよ」

「わかりました」








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