第4話
気づくと俺は真っ暗な闇の中にいた。上下左右全てが黒。
「なんだここ」
自分がどこにいるかわからないのに何故か俺は落ち着いていた。
「夢かこれ、でも夢って気づいたら起きるよな」
試しに頬を抓ってみる。痛くないな。現実か?
すると闇が語りかけてきた。
【お前の欲望はなんだ?】
「なんだこいつ」
【お前の欲望はなんだ?】
NPCみたいに同じことしか言わねえな。俺の欲望?そんなの別にねえけど。飯が食えて友達もいて姉さんもいてこれ以上別に欲しいものとかないけどな。
【ある。お前には人に言えぬ黒い欲がある】
「普通にしゃべるんかい」
しかも俺の心の声も聞いてんな。えーっとハンバーグ食べたい。
【.........】
無視されたな。いや無視されたのかそれとも決まった言葉しか言えないNPC的な存在なのか判断がつかないな。
【.................うるせぇ】
決まりだ。こいつには意思がある。ならここはどこだ?なんで俺だけがここにいる?あとなぜ俺はこんな状況で落ち着いてられるんだ?
【それはここがお前の中だからだ。本能でわかってるんだよ。俺は敵じゃないってな】
現代人が一目見ただけであっこいつ敵だ!とはあんまならんけどな。
【黙れ。ひねくれた理屈野郎が】
「口悪いな」
心に思うだけで会話できるのに思わず口にしてしまった。まぁここが俺の中だとしてお前は一体なんなんだ?
【俺はお前だよ。俺はお前の暗くて黒い欲望。
お前は言ったな?飯が食えて、友がいて、姉もいてこれ以上欲しいものは無いと。それだけなら俺はここに存在しない】
んー。モテたいとかもっと友達欲しいとかかな?
【そんなんじゃないなお前が求めてるのは。それを自覚した時、俺とお前は.........になる】
なんて言ったんだ?上手く聞き取れない。
【欲を自覚しろ。そうすれば分かる。】
ピピピピピピピピピピピピピピ
うるさいアラームが朝を告げる。
俺は片手でアラームを止めながら体を起こす。
「クソ。意味わかんねえ夢見た」
風牙はアラームがなったのに気づいた素振りもせずグースカ寝ている。幸せなやつだな。
カーテンを空け、太陽を見る。
「今日も二度寝したら気持ちよさそうだなぁ。」
「は?」
俺はありえないものを目にした。
巨人だ。巨人が歩いてる。いや人なのかあれ?
とにかく意味わからんやつが街を歩いてる。
全長3mぐらいの顔が牛になってる怪物にちっさい緑色の不細工なやつもいる。いや人間っぽいのもいるな。
「クソまだ夢か」
そうだ。現実のはずがない。もう一度寝て目が覚めた時にはいつもの光景が広がってるはず。
【ハハッ!】
欲望が笑った音が聞こえた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます