第2話 龍は森林にて微笑む
なるほどと息を整えながら自分の姿を人間へと変化させて月天は鏡を召喚する。
「なるほど、魔法に関しては知識としていれておいてくれたみたいだね」
創造神グランシャリオに感謝をすると同時に自分の隣にいる眼鏡をかけた修道服を着た美しい無表情の女性に声をかけた。
「それであなたが俺のナビゲーターさんなんだよね?」
「はい、私はグランシャリオ様専属の天使、リステアと申します、グランシャリオ様の願いにより月天様のサポートにつくことになりました、よろしくお願いします」
「そんな多分最上位の天使さんにいいのかな」
「かまいません、グランシャリオ様は部下に対してお優しいかた、私においては休暇も含めてこちらに派遣されたので」
リステアはゆっくり微笑むと優しい雰囲気をむけた。
月天は自分の体を見る。
金色の髪をオールバックにして生前の自分をもう少し幼くしたかのような顔。見た目は18歳くらいだろうか?自分でいうのもなんだがそれなりに整った顔をしていると思う。
紅い瞳に、黒いジャケット、紅いレザージーンズに白いシャツ。黄色のグローブに。
身長190センチくらいで細身。
「ちょっとこれは少しイケメンすぎだな」
「そんなに前世といじってないはずですから元がよいのですよ」
「それならありがとうかな、照れくさいけど」
リステアの笑みに頭をかきながら月天も苦笑しながら周りをみる。
「この森林は色々ありそうだね」
「そうですねえ、この世界の魔境と呼ばれる秘境の一つ絶界、この世界の冒険者と呼ばれる人間達の最上位等級SSランクの方々がパーティを組んでギリギリ倒せるレベルですかね」
「それってやばくないですか?」
「あなたなら大丈夫ですよ、そのために星滅龍へ転生させたのですから」
リステアはにこやかに言葉を紡ぐ
「こちらの世界には伝承がありまして」
一言を紡ぐと同時に語りだす。
この世界に戦乱乱れし時多くの嘆きと共に大地が鳴き空が叫ぶとき、大いなる魔素が星滅ぼす龍を産み出すだろう。
その龍は星を生かす王ともなる。
そしてまた星を滅ぼす王ともなる。
大いなる神と星の意思に導かれあらゆる覇道を導く大いなる龍。
星滅ぼす光もつ龍を求めし者にあるのは福音かそれとも破滅か。
「伝承の伝説の龍になったということ?」
「そうですね、星滅龍の因子を持つ龍はいても星滅龍そのものの龍は現在貴方だけですね」
「めっちゃレアキャラじゃん」
「そうですねえ、レベル1でも大陸5回くらい滅ぼせる実力はありますね!!」
「グランシャリオさん!?」
月天は頭を少し抱えて空を見上げた。
「まあいいや、なんだかんだ強いってことだよね、問題は物理でなんだかんだ解決できるわけだ」
月天は肩を竦めて森林をみる。
「大体魔法や魔術の使い方も覚えているし、とりあえず好き勝手過ごしていいんだよね」
「そうですね、気まぐれに困ったひとを助けてもらえたりしてもらえれば」
「そのくらいお安い御用さ、とりあえずこの世界を楽しむことにするよ」
月天はそういうと微笑みながら頷いた。
一か月後
「はあはあ、ここまできたら大丈夫かな?お兄ちゃん」
「そうだね、ここまできたらね」
深い森のなか二人の少年と少女が息を荒げながらたどり着く。
一人は紅い髪に青い瞳と紅い瞳の両眼違いのどこか憂いをもった美しい顔をした16歳ほどの少年。中性的で160センチほどのまだ成長途中の少年という感じだ。
もう一人はどこか神秘的な修道女のようなかわいらしい美しい黒髪と青い眼の少女。140センチほどの小柄で13歳ほどだろうか。
「まさか隠れ里を襲撃されるなんて」
「里の聖剣を求めてた」
少年は黒い鞘に収まる無骨な剣を持ち出す
「まだ持ち主を見つけていない聖剣」
「帝国が集めてる」
「うん、勇者を集めるために」
「世界はどうなるんだろう」
「大丈夫だよ、僕がそうさせないから」
少年は頷く。
「僕がこの剣の所有者になるんだ、大丈夫、試練はうけれる」
少年は森林に眼をむけた。
「この絶界で」
「ん?どこか反応がありましたね」
月天は畑をみながら空をみる。
「あら、そうですねえ、人間かしら、珍しい」
魔法や魔術で作り上げた村を見ながらリステアも頷く。
今の所住人は月天とリステアともう一人。
「月天くーん、僕はビールを所望するよお」
ボサボサ髪の白髪の白衣の男がいた。
「ジューダさん、またですか、昼間から飲みだして」
「大丈夫、僕は不死人だからさあ、すぐ酔いもさめるよお」
そういつのまにかふらりと現れた不死の人間、ジューダ、彼との出会いの話はまた後日。
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