第12話 幕間

「やった。界のランクが上がった!これで…。」

友華には、自分でも上手くやっていた自信はあった。あんまり、身近な娘にばかり声をかけていても、直ぐにダブルブッキングしてしまい。会員を増やすことが難しい。そこで、SNSを中心に複数の人物を演じて、全国のいろんなところの人とのやり取りを中心にすることにした。それが、ちょうど半年ぐらい前。特にSNSでは、自分が若い女性だと分かると、年齢もよく分からない男の人が、釣れること、釣れること。

ついに、自分の子会員や孫会員が、三桁の後半を越えた。すると、兼ねてからのお告げの通り、ランクアップと、その褒賞金が支払われてきたのだ。

「すごい金額…。」

正確にはポイントの付与であったが、一手間挟むことで換金が可能である。友華は、少しだけ怖くなった。でも、思い直す。これは、正当な報酬だ。※メルカミだって、有名な通販サイトだって、友達を紹介したら現金とかポイントを、もらえることを知ってる。同じことだと説明されたし…。

※メルカミ 国内大手のフリマサイト


 そんなことを考える友華の元には、ひっきりなしにSNSで勧誘した子会員からのメッセージ着信のポップ画面が、点滅している。そんなものに興味はないかのように、一気に全デリートのボタンを押した友華は、お金の使い道に思いを馳せる。アレコレ想像する内に自然と口元に笑みが浮かんでくる。やがて、友華は何か思い付いたらしく、また、スマホの画面に没頭しはじめる。先ほどまでは、電気がなくても、さほど暗くなかった部屋も、もう西日の明るさもだいぶ少なくなり、かなり暗くなっているのだが、彼女は気にせずにベッドの上でのスマホの操作に夢中であった…。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る