弓張月の夜・おまけ 〜全否定?〜



○鬼の国にある、巫女が住む和風な家・キッチン(朝)

    鬼姫琴奈がキッチンで朝食を作る。

    聞き手はいないが演出として声を届けたいため、壁になったテイで①。


①「うわぁああああああああああ」


   (バックSE:キャベツをひたすら包丁で切る音)※開始


①「はずいはずいはずいはずいはずい。

  え? ワラワ、昨日何をした? まじないとか言って何をした⁇」


   (バックSE:キャベツをひたすら包丁で切る音・速度アップ)※継続


①「あぁああああああああ。はずすぎるぅぅうううう」


   (バックSE:キャベツをひたすら包丁で切る音)※終了


①「はぁ、はぁ、はぁ……

 (溜息)はぁ〜〜〜」


   (SE:包丁をキッチン上に置く音)

    色々と考えていく内に平然としていた聞き手に琴奈が八つ当たりし始める。


①「……バカ。バーカ。バカバカバカバカ。

  アホ、間抜け、鈍感、腰抜け。意気地なし。

  ……なんじゃ。なんなんじゃ、あのアホは。

  人の子のくせに。平然とした顔をして……。

  これではまるで、ワラワだけが意識しておるみたいではないか。

  なんでワラワばっかり、こんな気持ちに……

  全部、ぜんぶゼンブぜんブ全部ッ! あの人の子のせいじゃ‼」


   (SE:頭上の棚を開ける音)

   (SE:お皿を2つ出す音)

   (SE:2つのお皿をキッチン上に置く音)

    琴奈がそこで2人前以上のキャベツを切っていたことに気が付く。


①「(唖然)あ……どうしよう。

  キャベツ、切り過ぎちゃった」


    琴奈がキャベツの山を眺める。

    沈黙後、琴奈が溜息。


①「(溜息)はぁ……。

  次はこうはいかぬぞ、人の子よ。

  赤面するほど、ドキドキさせて。

  ワラワなしでは生きられぬようにしてやるのじゃ」



《続く》

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