第2話:ウェルカム・トゥ・マイ・ホーム。

テントから出てきた女の子はなんだか、きゃぴきゃぴしてる。

だけど、着てるモノはマイクロビキニみたいな露出度高めで、目のやり場に

困る。


髪は薄い紫でツインテールにしていて目も綺麗な紫。

異星人でも可愛い子は可愛いんだって思った。


「あっ、ちょっと待って・・・せっかくだから記念に写メ撮っとこう」


「よ〜し・・・」

「あれ?地球人じゃんくてもピースサインするんだ・・・」


「風習や流行なんてどこもそんなに変わってないんじゃない?」


「ああ・・・それは意外とね」


「ごめんね、張りっぱなしのテント仕舞うね」


そう言うと女の子は、テントの入り口あたりを人差し指で押すと見る間に

テントが小さくなっていった。

で、芝生の上に手の平より小さくなったテントを、今度は自分が肩から

下げていた小さなバッグにしまった。


「へ〜便利なんだね」


「必要なものは、みんな小さくしてこのポシェットにしまっておけるの」

「いわゆる科学と魔法の融合ね」


「魔法?君・・・魔法なんか使えるの?」

「私たち、ご先祖様の時代に魔法と科学を組み合わせることに成功したの」

「だから両方使えるんだよ」


「なるほど〜そのポシェットは科学なんだ・・・ひとつ欲しいな」


「今は、これしかないから・・・」


「君、星に帰ったら一個、送ってよ、あとで住所教えるから・・・」


で、話を聞くために女の子を家にお招きした。


「そのシックスナイン?たら・・・ってところからどうやって来たの?」


「えと、普通に降りて来たけど・・・私そういうための乗り物とかたとえば

UFOとかなくても平気なの」

「本格的SFじゃないんだから、っていうか現代ファンタジーってジャンルになってるけどいいの?」

「いいのいいの、細かいことはいいじゃない?」


「とにかく私が降りたところが、あなたのお家の庭だっただけ」

「迷惑なら出てっちゃうけど・・・」


「いやいや迷惑とか思ってなくて・・・」

「で?地球へやって来た目的は?・・・まさか地球侵略とか?」


「私、ひとり侵略できる訳ないでしょ?」

「むしろ目的があるとしたら友好関係のほうだと思うけど」


「ま、たしかにね、侵略が目的なら僕はとっくに君に消されてるかな?」

「ほら、ビームかなんかで溶かされたりして・・・」


「想像力豊か・・・」

「暇だったから、地球に遊びにきただけだよ」


「ああ〜遊びにね・・・ところで君の名前は?なんて言うの?」


「私?私「シーシャ・・・サキュバスやってる」


「シーシャちゃんか・・・え?サキュバス?・・・サキュバスって?」


「PCで検索して・・・」


「ああ、分かりました」

「あの僕は「等々力 渉とどろき わたる」って言います」


「ワタル?」


「僕んちの庭で知り合ったのも、なにかの縁だし・・・これってファースト

コンタクトって言うんだよね」

「ETとか未知との遭遇みたいに・・・貴重な経験だなぁ」


「あの来たばかりで右も左も分かんないんだけど・・・私、やっぱり出て

かなきゃいけない?」」


「なに言ってんの・・・出ていかなくていいよ・・・むしろ行かせないよ

どこにも・・・」


「私を監禁するつもり?」


「なに言ってんの・・・ウェルカム・トゥ・マイ・ホームだよ」

「こんな貴重な経験、断ったりなんかしたら一生後悔するって・・・僕んちに

いていいからね?」 

「よその家の庭にテント張らないようにね」


な、いいところで母ちゃんが横から割り込んできた。


わたる・・・この子、うちでお預かりするつもり?」

「て言うことは、この子宇宙人さんでもご飯食べるわよね」


「なに?なにが言いたいいんだよ」


「ご飯食べる人がひとり増えると家計に響くんだけど・・・」

「母子家庭だから・・・」


「そんなセコいこと言うなよ、僕だって働いてるだろ?」

「心配しなくてもシーシャちゃんの食費くらい俺が出すよ」

                              

「そう、じゃいいわ・・・大歓迎よ、シーシャちゃん」

「なんならわたるの彼女になってやって?」


「オッケー」


「ふたりで何勝手なこと言ってんの?まじで・・・」


いいも悪いもなくシーシャちゃんは、いつまでかは分からないけど、そのまま

僕んちで暮らすことになった。


で、そんなことしてたもんだから、僕は完全に派出所に遅刻してること

をきっちり忘れてた。


つづけてもいいのかな?



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