2024/08/29 活動開始2ヶ月記念⑤

今日は流石にニュースがないので、私のシリーズ紹介及び解説だけで終わっちゃおうと思います。


『私の方がミステリ好きだぞっ!』

リンク https://kakuyomu.jp/works/16818093082601873399


私が4番目に立ち上げたシリーズですね。初めてのエッセイです。ミステリのあれこれを論じるつもりで始めたコーナーですが、あんまり私自身が面白いと思えるネタが見つかりませんので、実際に私の方がミステリ好きだぞアピールに使う機会はそこまでないと思います。けど、一応はミステリの文学史を勉強した身ですので、単に謎解きを楽しむためだけにミステリ作品を読んでいる人々よりはミステリのことに詳しいのは間違いないと思っています。マウンターでごめんなさい。


もともとこのエッセイを立ち上げようとしたのは、とある方のパスティーシュを読んだからです。パスティーシュというのは、要はパロディ小説のことです。スピンオフとか、ファンノベルの類義語ですね。


キャッチコピーに、シャーロキアン必見!なんて書いてあったので、どんな作品なのかと思えば。ネット小説なんてそんなものですよね。


コナン・ドイルさんはお医者ですよ?インテリさんなんですよ?文学史の知識がありますし、日々患者さんを観察することで養った洞察力を、ホームズさんの驚異的な探偵に仕立てるために活用した、ワトソンさんとホームズさんが合体したような筆者さんがコナン・ドイルさんなのですよ?


それを、なんといいますか、「名探偵」のタスキをかけただけのおじさんにしてしまっていると言いますか。ストーリーラインもまったくデタラメで、1章の最後にフェアリーゴッドマザー的なキャラクターが出てきたときにはスマホを床に叩きつけて割ってやろうかと思ったくらいでした。アンフェアです。ミステリとして成立していません。ノックスの十戒やヴァン・ダインの二十ヶ条を知らないのでしょうか。


というように憤慨してしまった気持ちを、少しでもコミカルに昇華しようと思って始めたのがこのシリーズだったのです。


初回はホームズの中に登場するフランス語についてです。『赤毛連盟』の最後に登場するフランス語のフレーズが、本来のものから少し異なっているという、英文学ホームズ界隈では割と有名な現象を取り扱っています。狭いとか言わないでください。


そして私が読んだパスティーシュでもフランス語っぽいテキストが登場していたのですが、それもデタラメでしたね。流石に我慢ならなくて送ってしまったコメントを引用しましょうか。


 西洋世界で「浦島太郎みたいなお話だ」というのを表現するときにリップ・ヴァン・ウィンクルを引き合いに出している点が素晴らしいと思いました。この作品が発表されたのは1820年頃で、そしてホームズ達が活躍した時代は19世紀終わり頃なので、時代的にも正しいんですよね。ルイ14世の挿話などからも、時代考証に対する熱意が伝わってきました。

 ですが、例えば[非現実的な世界の住人の言語だから。]などの理由に基づいた意図的な表現であれば申し訳ないのですが、ミス・メアリーの完璧なフランス語が気になります。「ありがとう」を意味する "Merci" は感動詞で活用しません。「ホームズさん」を "Honsieur Holmes" としているのも、本当は "Monsieur Holmes" と書きたかったんじゃないかな・・・と、どうも完璧なフランス語には見えないぞと思ってしまいました。 "C'est normal" については、ピリオドが抜け落ちているのが気になりました。1つ目の文には付いているのに・・・。用法やニュアンスは良い味を出しているのに、です。細かい揚げ足取りみたいになってしまい、本当にすみません。


これに対しての返信がこちらです。


 時代交渉(→考証)について褒められたのは初めてです。苦労した甲斐がありました。

 実は私今年67歳のパソコンの素人で、フランス語のところはルビ打ち等難しくて、パソコン教室の先生に丸投げでやってもらったんです。

 ワードからカクヨムに移すとき、ルビがうまくいかず、もたもたしてるうちに全部消えてしまい、何とか直そうと頑張ったんですが、ロックされたようになってしまい、どうやっても直せなくて(ピリオドも)遂に諦めてそのままになってました。

 今年の4月にパソコン教室が閉鎖になり、もうどこにも聞きに行けないので、私の力ではもう直せません。(涙)

 あと字を一段下げて(*注)を書くとき、編集ではうまく直したのに、プレビューで見るとめちゃくちゃになっていたりして、どうやって直したら良いかわからずそのままのところもあります。

 そんな作品ですが、どうかお嫌でなければ、最後まで読んでください。特にラストの「12日31日の来訪者」だけでも。

 多分誰も見たことのないマイクロフト・ホームズが見られます。

 「ミステリー2」の企画では、二作出すのが禁止されていなかったので、もう一本(資料が手に入らず、一部未完成)「もし君がイエスと言ったら」という作品も出しました。色々問題のある作品ですが、「ミステリーズ」に応募するつもりで書いて、あともう少しで完成でしたが、果たせなかった話しです。作中人物の名前が、「ツイン・ピークス」になっているのがお遊び。


会話が成立していないこと、分かりますか?私はルビや表示の不具合を指摘したのではなく、フランス語そのものがデタラメですよというコメントをしたのです。


あと、マイクロフト・ホームズさんというのはシャーロック・ホームズさんのお兄さんですが、あまり目立つのが好きではない性格で、国の重要な役職についているものの、あくまで裏方に徹しようとするタイプのお方です。


その人を引っ張り出して探偵役をさせるというのは、グラナダテレビジョン製作のシャーロック・ホームズのドラマみたいですね。あのドラマでは終盤でホームズ役の人が病を患ってしまい、本来シャーロックさんが解決するはずの事件を、マイクロフトさんとワトソンさんで担当しているエピソードがあるんです。そのお話にてシャーロックさんは、最後の最後にワンシーンだけ謎空間に登場して、「ブラボー!我が兄よ!」と言って白いもやの中、謎空間の画面奥へと消えていきます。


つまり、マイクロフト・ホームズさんが活躍するお話というのは、別に目新しいアイデアではないのですよね。


というか、ホームズさんは文学や歴史の知識に詳しくありません。これは緋色の研究の中でワトソンさんがホームズさんの知識の偏りを述べている場面から読み取れます。


彼の頭脳が主戦場としているのは科学の世界と犯罪学の世界です。政治について知識が乏しいというワトソンさんの指摘もありましたが、一応、身の回りで起きていること、社会のあれこれについては、新聞を読んでいる場面が原作にも多く登場するので、例えば現首相が誰であるとか、国際情勢がどうであるとかは理解しているはずで、日常生活に支障を来すほどでもないと考えられます。


ですがあの作品ではシャーロック・ホームズさんが歴史に詳しいキャラクターとして登場しているのも気になりましたし、魔法使いが登場しちゃいますし、フランス語はデタラメですし、もうめちゃくちゃです。


あと67歳というのもなんとなく、そのくらいのお年を召した方であるのは分かっていました。作中に「コールタール」という単語が説明なく登場しており、これは少し昔の塗料の名前ですね。今では滅多に使われていません。頭の中の時代が違いますねというのは、言わないだけですごく思っていました。


そんな気分で書いたエッセイではありますが、参考文献をしっかりと据えて、冷静に書き上げたのが第1枠、「ホームズさんは、イギリス人」です。そこについた例の筆者さんからのコメントをご覧ください。


 ホームズを原文で読める方でしたか。(私の作品にいただいたコメントに納得)

私は高校時代、英語は赤点。フランス語は全くダメですから。 

 でも、たまたま「銀星号事件」の原文を見る機会があり、ダメなりにその文章の美しさに感動したことがあります。(発音してみるとわかるんですよ。英語は音楽のような言語ですので)イギリスでは国語の教科書に、ホームズが載っていたと聞いたこともあります。ホームズはやっぱり名作だ。

 最後に「もし君がイエスと言ったら」読んでくださってありがとう。


それに対して私からの返信です。


 コメントありがとうございます。

 全然作品を読み進められていなくてすみません。魔術を使うキャラクターが登場したり、ホームズを視点人物に据えていたり、ワトソン5世が出てきたり、様々に挑戦的な展開を繰り広げていますよね。今は忙しくて厳しいのですが、時間があるときにいずれ全部読ませていただきます。


忙しいからあなたの作品を読んでいる時間なんてありませんとは、私的には結構な侮辱にも映る言葉なのですが、一般的に解釈すれば、後々読むのだなともとれるのですよね。これ以上は何もいいません。

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